黒バス夢 | ナノ


▽ 俺の新しい未来

今年無事中学を卒業した俺は、進学先である桐皇学園近くのアパートへと入居することになった。
バイトで貯めたお金は一年過ごす分はある。
学園に入学してもバイトはさせてもらえるらしく一安心した。
そして、今日は引っ越し作業の日だ。

「なんつうか…荷物少ないっスね」
「これなら早く終わりそうなのだよ」
「だりぃ」
「みんなきてくれてありがと、まぁ少ないのは持ってきたいものそんなになかったから」

流石に少ないとは言え、一人でやるとしたら時間がかかってしまう。
そのため、誰かきてくれる人はいないかと声をかけたところ黄瀬、緑間、青峰がきてくれた。

「まずは、大きいものから運んでもらっていい?」
「じゃあ、俺と青峰っちでやるっスよ」
「ああ、頼むな」
「俺は、ダンボールを運ぶのだよ」
「なら、俺は…」
「名前はこれでもやっとけ」

みんなに指示をだしながら自分は何をやろうかと迷っていると本棚に並べる本の入ったダンボールを示された。

「俺だって運ぶ」
「名前より背が高い奴がいるんだから運ぶのは十分だろーが」
「お前らが規格外なんだよっ」

嫌味かと食ってかかると、黄瀬は苦笑を浮かべている。
確かに力もないかも知れないけど、みんなばかりに任せるわけには行かないんだとわかってほしい。

「あっ、ならこっちの食器並べるのとか…どうっスか?俺たちじゃ乱暴にしちゃいそうっスから」
「うーん、わかった」

仕方なく納得すればその場がホッと胸をなで下ろしたのがわかる。
そんなに心配かよ、むしろお前らの方が高校に入ってから即戦力扱いなのだから身体を大事にしないといけないのに。
そんなことを思いながら、食器の入っている箱に手をつけた。
青峰たちは他の家具を置いていくのと運びこむ作業を繰り返す。
物自体は少ないからそれが終わると、緑間は食料を調達に買い出しにいってくれた。
青峰はと黄瀬は俺の方の手伝いをしてくれる。

「で、二人ともヤったんスか?」
「ぶっ」
「はぁ!?」
「あ、ヤってないんスね。だって気になるじゃないっスか」
「お前には関係ないだろ」
「えー、あんなに心配かけて関係ないとかよく言えるっスね青峰っち」
「心配かけたのか?」
「二人の知らないところで赤司っちとか黒子っちとか緑間っちとか、みんな心配してたんス」

いきなりの黄瀬の暴露に驚いたのは俺達で顔を見合わせた。
確かに、俺達のことを心配してくれていたとは思うが、そんなにだったのか…。

「まぁ、今は無事にそうやっていてもらえてなによりっスよ」
「黄瀬…」
「だからって、ヤったかどうか聞くのはいいのか?ん?」
「あーははっ…青峰っち、離してっ、ちょっとした好奇心だったんスよー!!」

少しじんわりとしてしまったが、青峰の最もな言葉に苦笑いしか浮かばない。
青峰は黄瀬の肩に腕を回すなりそのままグイグイと締め上げている。
わーわー、ぎゃーぎゃーと騒ぎ出してストップの声をかけようとしたところドアが開いた。

「お前たちは何をやっているのだよ。近所迷惑を考えろ」
「「……はい」」

颯爽と登場した緑間は眼鏡を押し上げ、買ってきたものをテーブルに置いた。
俺はすかさずチェックして、鍋を取り出す。

「もう片付け終わったようなもんだし、飯作るよ」
「手伝うか?」
「いやいや、大丈夫。真も向こうでゆっくりしててよ」

料理に関しては、いずれ一人暮らしするのだからと母親に教えられていた。
手伝いと言われるとどう人を使っていいかわからないから丁重にお断りした。
緑間に買ってきてもらったものを冷蔵庫にしまいつつ今回使うものを出しておく。
すぐ作れるものっていったら唐揚げとおにぎりぐらいか。
お米をといで炊飯器にセットする。
その間に鶏肉を切って味をつける。
すると、後ろに重みを感じて振り返れば青峰がいた。

「あれ?さっきまでゲームしてなかったっけ?」
「黄瀬とばっかでつまんねぇ。名前早くしろよ」
「あと三十分もしたらできるから…」
「待てねーっつったら?」

からかうような、誘うような声に俺は仕方ないなと一瞬だけ頬にキスをした。

「ほら、満足しただろ」
「口じゃねーのに満足できるかよ」

言いながらするりと入り込んでくる手にビクッと反応してしまう。
まさか、こんなところで悪戯を仕掛けてくる気じゃないだろうな、と誰かに助けを求めようとしてさっきから声が聞こえてこないのに気づく。
あれ?っと思ってみんなのいる方を確認するとばっちり目があった。

「わぁーーー!!」
「いっ…てぇ」

俺は思わず青峰の手を振り払い突き飛ばしていた。
壁に背中を打ち痛そうにしているがそんなの関係ない。
今の全部見られてた!?

「もっとイチャイチャしてもいいっスよ〜?」
「限度を越さなければ止める権利はないのだよ」
「止めてくれ、頼むから!!」

俺も俺で一体何をしようとしてたのか、馬鹿なのか…青峰のアホが移ったのか!?
手に持つあらあげをもみもみしながら自己嫌悪に陥りそうになる。
唯一の緑間が機能しなかったという事態に俺はどうしたらいいかわからない。

「んだよ、いいだろ」
「よくねーよ、TPOを考えろTPOをっ」
「アン?ここは名前ん家だろ、学校じゃねぇし止める奴もいない。問題ねーよ」
「有りすぎだろ、来客中だっ」
「客じゃ…ぐふっ」
「なんだって?」
「スイマセンデシタ」

わかればよろしい、青峰の腹に軽く一発いれて黙らせた。
調子に乗せるとすぐこれだ。
中学は許されたけど、高校じゃこうはいかない。
少しは自覚してもらいたいものだ…。
それを見ていた緑間と黄瀬は呆れたように笑っていた。
だから、止めろよ。
…まぁ、いいか。味方のうちは今だけ。
すると、炊飯器が炊けた知らせをくれる。

「青峰、おにぎり握れるか?」
「やれるけど」

三角のを想像したのに奴はぎゅっと拳を握ってみせる。
その握るじゃねーよ。
突っ込みつつ味を付けた鶏肉を揚げていく。

「こんなんでいいか?」
「ん、じょーでき」

三角のおにぎりを見せてきた青峰がなんだか子供みたいで楽しい。




「どっちにしろリア充じゃないっスか」
「楽しそうでなによりなのだよ」

キッチン方面からはハートが飛んできそうないきおいの二人をみて、結局はラブラブなんじゃないかと愚痴が漏れる。
いや、別に二人が円満ならそれでいいが、嫌みな言葉が出てしまったのは俺が黒子っちに結局会えなかったから。
誤解をしている、そう言うこともできなかった。

「俺だってそう簡単に諦める質じゃないっスよ」
「人事を尽くさないからそうなるのだよ」
「人事ってなんなんスか、相変わらず緑間っちは一緒にいてもよくわかんないっス」
「なっ、俺だってお前がよくわからないのだよ」

ふんっと鼻を鳴らす緑間っちに俺はふっと考えた。
この人こそ、高校に行って知らない人と馴染めるのだろうか。
今日もおは朝のラッキーアイテムは持ってきてるみたいで、おかしなキーホルダーを家の鍵につけていた。
そんな偏屈な人を慕ってくれる人がいるのだろうか…。

「うーん、わかんねー」
「何を考えてるか知らんが馬鹿にされてるのはわかるぞ」
「やだなぁ、そんなことないっスよ」

ギロリと見られてビクッと身体が揺れる。
下手に美人顔だから怒ると迫力ある。
あははとやり過ごし、どうしようもなくなった俺が取った行動は、やりかけのゲームをやる、という極めて単純な作業だった。


そして、苗字っちと青峰っちはひとしきり満足するまでイチャイチャしたあとはしっかりとおにぎりと唐揚げを作ってくれて、なかなかおいしかった。
俺までとはいかないけど、苗字っちもなかなか筋はいいみたいで、それでもちゃんと男なんだなぁとしみじみしてしまう。
青峰っちも今は落ち着いてるけど、学校が始まったら大変だろうなと思う。
部活行かないとか普通に言うんだろうな…そしたら、あんたに勝てるかな。
別々の高校に行く以上、俺と青峰っちはいつかぶつかる、次は負けねーっスよ。
時間をみて、そろそろと立ち上がる。

「今日はありがとう、助かった」
「お安いご用っス。苗字っちならいつでも頼っていいっスから」
「あ?お前に頼るかよ」
「ひどっ」
「そんなことないって、またメールする。真にも、な」
「ふんっ、特別に待ってやらないでもないのだよ」
「相変わらず、ツンデレ」
「な!?」

玄関まで送ってもらって、笑顔で別れた。

「赤司が、苗字がいいと言った意味がようやくわかったな」
「へ?なんスか、それ」
「苗字が赤司の引き入れでバスケをしていたのは知っているだろ?」

帰り道、緑間っちが言った一言に首を傾げた。
確かに、苗字っちは赤司が言ったから入部させられたといっていた気がする。
相槌を打つと緑間っちは眼鏡を押し上げて笑みを浮かべていた。

「あんな風になっていた青峰が、穏やかでいられている。それが証拠なのだよ」
「へぇ?」
「あいつが打ち出した最善策だったのだよ」
「…俺、やっぱよくわかんないっスわ」

緑間っちもわからなかったが、それ以上にわからないのは赤司っちだった。
まぁ、俺たちを集めた人だからただものじゃないって言うのはわかるケド。

「とりあえず、めでたしめでたしってことっスか?」
「まぁ、そうだな」

緑間っちは呆れたように笑って頷いた。
高校では高校の辛さがあるが、ひとまずあの人は大丈夫だろう。
まったく、羨ましいほどだ。
来たときとは一人減った二人でのんびりと家路についたのだった。




「で、なんでお前は残るんだ?」
「いいだろ?ヤらせろ」

黄瀬と緑間が帰った後、当然のように居座る青峰に言ってやる。だが、青峰は気にすることなく俺の腰を引き寄せると噛みつくように口付けられる。

「ん、ンンッ…」

遊びのキスなんかじゃなく、本気のキスだ。
薄く開いた唇の隙間から舌が入ってきて俺のと絡む。
息を奪われるかのようなそれに、俺は青峰の腕を掴んだ。
青峰に初めてを奪われたのは、卒業式の次の日だった。
勢いと言うのは恐ろしく、初めてだからゆっくり慣らしてから…まずは触りっこだけで、と前置きしたにもかかわらず素股から指を入れてみよう、なんか柔らかくなってきた、我慢できない、と思春期の性欲のままに絆されて受け入れてしまった。
そして、あまりの痛みに我に返るが遅かった。
気持ちよかったと無邪気な顔で笑う青峰に、もう少し手加減しろと言うこともできないまま、好き勝手させている。
人間の身体と言うものは意外にも丈夫で、少しの無茶でも順応してくれる。
今では普通に受け入れることができるようになり、俺はひっそりと調べたケアまでちゃんとしている始末。
最初こそこりごりだと思ったが、青峰が幸せそうな顔をするのでそれに絆され続けている。
頭がくらくらとしてきて力が抜ける。
身体を預けるように青峰に寄りかかると腕を掴まれ、唇が離れた。

「ベッド、行くか?」
「ん…」

青峰の問いにこくりと頷いた。
腕を引くようにして寝室に向かう、いつも親を気にしてあまり声を出すことができなかったが、今日は気にしなくて良さそうだ。
仰向けになると覆い被さってきて、自分とは違う体躯に惚れ惚れしてしまう。
俺はどんなに頑張ってもこのかっこいいほどのものは手に入らないだろう。
腕の筋肉を指先でなぞると小さく笑みを浮かべる。

「名前、それ誘ってんのか?」
「は!?…アッ、やぁ」

服の上から自身を握られて自分でも恥ずかしいぐらいの声に思わず口を塞ぐ。

「おい、声聞かせろ」
「んっ、んっ…ふぁ、やめっ」
「名前…」

扱きながら手を取られて声が漏れる。
嫌がるのに、青峰に名前を呼ばれただけで力が抜けた。

「あ、隣…聞こえたら」
「ばぁか、角部屋で隣はいないだろ?」
「……まさか」
「まぁ、いない方が気にしなくていいだろう」

ここにしようと決めたのは、実は俺じゃなかった。
青峰が、桐皇学園に近いし立地条件もぴったりだからと推したのだ。
その中にもしかして隣人もいないこと…という条件が入っていたのかと視線だけで問えば、否定じゃない返事が返ってきた。
なんということだと頭を抱えそうになるが、生憎手がベッドに押さえつけられたままだ。

「アホ峰っ」
「おーおー、アホで結構。これで名前の声聞けるぜ」

ニヤリと楽しそうに笑う。
ああ、こいつは本当にアホでバカなのか…。
呆れてため息をつくのに青峰は相変わらずで、こうして絆され続けていくのかと流石に諦めた。
青峰だから、いいや。
こいつになにを言っても結局無駄なのだ。
ならば、自分が気をつけるしかない。
諦めのようにため息を吐けば、顔をのぞき込んでくる。

「なんだよ、嫌なのか?」
「…いいよ。あ、でもその前にお風呂」

はたっと気づいたのは片付けをしてからそのままだということ。
流石に埃まみれで致すのは勘弁願いたい。
それに、準備もしたい…伺うように見つめると意外にも素直に俺の上から退いた。
え、嘘青峰が大人しく言うこときくなんて…。

「一緒に風呂もいいな」
「ですよねー」

前言撤回。
そして、青峰は一緒に入るときかなくて結局入る羽目になった。




「んぁ、あっ…ひぅ、も…舐める、なぁ」
「気持ちよさそうに締め付けてるくせに」

風呂で散々前戯だなんだと言い訳をつけて弄び、あがるころにはのぼせてくたくただったのにも関わらず俺をうつ伏せにした青峰はあろうことか、指で慣らしたそこに口をつけてきたのだ。
いつもと違う柔らかさと塗れている感覚に息も絶え絶えに喘がされている。

「引き絞るみてぇ…」
「いうな、ばかぁっ…あっぁあ」

舌が引き抜かれ、指が入ってくれば今までの比じゃなく感じて腰が崩れそうになるが、逞しい腕がそれを支える。
そして容赦なくぐちゅぐちゅと抜き差しするのだ。
身体中が痙攣し、枕を噛んで何度目かもわからない白濁を放った。

「くれよ、青峰ぇ、欲しい…んぁ」
「そろそろ、俺も限界」

俺の身体が仰向けにされると、青峰の余裕のない顔がそこにあった。
足を恥ずかしいぐらい開かれされて、疼く後ろに熱いものが押し当てられる。
早く、それ…早く

「はは、やべー…視覚的にさいこーだぜ名前」

口開けて、早く食わせろと言ってるみたいだと言われて羞恥にまみれる。
俺は青峰に手を伸ばして抱きついた。

「いい、から…はやくっ」
「名前…っ…あちぃ」
「――ぁあっ、ふぁっ」

ズッと入り込んでくるものを散々慣らしたにも関わらず強く締め付ける。
俺のものだとあまりにも必死だから少し緩めろよ、とキスをされながら言われてゆっくりと深呼吸を繰り返して、なんとか力を抜く。

「うごいて、いいか?」
「だめ、も…少しまって」

我慢できなそうに言われても困る。
こっちだっていっぱいいっぱいなのに、中に入ってるものが動かれたらどうなるかわからない。
けど、俺の制止を無視して青峰はゆっくりと動き出した。

「アッ、ばか…ひぁっ、ンンッ」
「わり、無理」

苦笑いして、言った途端中を強く突き上げる。
あまりの衝撃に背中に爪を立てるのに止まるどころか助長した。

「ぁ、う…ふっぁっ…あおみね、あおみねぇ…」
「なまえ、名前よべよ」
「へっ…あっあっ、やぁっ」

甘い声が耳に吹き込まれる。
名前って、恥ずかしい…っ。
いつも苗字で、それでいいと思っていたのに思わぬおねだりにドギマギしてしまう。

「だいき、だ…呼べよ、名前」
「ふぁっ…なんで、いまさら…っ」
「いまさらでもだ」

だったらイかさねーぞ、と自身を握られればそれこそ困った。
それなのに青峰は容赦なく突き上げてきた。
出したいのに出せない辛さに俺はとうとう口を開いた。

「だいき、大輝ぃ…イかせて、イかせっ…ぁあっ、アッ!!」
「名前、お前ホント…あいしてる」
「うぁっ!?あ、あい!?」
「正気に戻ってんじゃねー、よっ」

快楽で朦朧とする意識の中での言葉に一気に戻ってくるとむちゃくちゃに突き上げられて、せき止めていた自身も解放されてしまえばあとは駆け上るだけだった。

「あっ、イくっ…あぁあっ!!」

果てると中に注がれる熱に、また中を締め付けてしまった。
指先はビリビリと痺れていて、身体のどこにも力が入らない。
茫然とした俺の頬を撫でる好き勝手した男はこの上なく満足そうな顔をしている。
なんだか恥ずかしくて視線を合わせずにいると、こっちみろよ、と言われてしまった。

「お前、恥ずかしいよ」
「たまにはいいだろ?」

たまに、がこのタイミングなのかと恨めしそうな目を向けるも疲れで迫力も出ない。

「これからよろしくな、名前」
「こらこら、お前の家じゃないから」
「そんなもんだろ」

クスクスと笑って青峰の腕に抱かれる心地よさに浸る。
青峰が唯一笑っていられる場所になるために、俺はこいつのことを大事にしてやるんだ。

「青峰…」
「んー、なんだよ?」
「がんばろうな」
俺の言葉に口だけで笑って髪を梳く。

「俺が負けるわけねーだろ」
「ん、そだな」

チュッと口付け、青峰を見つめた。
負けるわけない、それは自分への足枷のように呟かれ、そしてそれ以上の言葉を遮るように目を閉じた。

俺はこいつに人生を狂わされたんだ。
こんなにも強くて、弱い青峰。
こいつについてく。
お前が困らないように、俺はお前の近くで生きるよ。





END



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