黒バス夢 | ナノ


▽ 光じゃなくても




青峰が少しずつ沈んでいる気がする。
アイツが落ち込みやすいのはいつものことなのだ、ちょっとしたことで気にして、それでも強がって。
そうしてキセキの世代ってやつらはあんなにも神経質なのか。
いや、その中でも青峰が一番かな。どうしようもない奴。
だからこそ、こいつの傍に居続けるんだ。

「今日はどこにいるのかな…」

先日試合があった。もちろん、桐皇が勝利を収めている。
今吉さんは鼻高々と言ったところだ。
あの人は本当に神経図太い。
青峰の強さに、敵の当たりも強くなっていたし、もちろん他の面子に関しても色々言っていた。
けど、多分アイツが一番痛い思いをしているんだ。
エースって言うのは昔から変わらない。アイツが背負う痛みも、かわらない。
屋上、教室、体育館外周…どこにも見当たらない。

「ふむ…名探偵名前はそんな青峰をすぐに見つけるんだな、と」

入りこんだ体育館、コートではいつものように練習風景が見て取れた。

「おお、名前やないか。どないした?」
「今吉さん、青峰知りませんか?」
「そんなこと言うて、名前が一番知っとるやろ」
「まぁ、そのまま練習続けてくれていれば大丈夫なんで」

練習を見ていた今吉さんに見つかった。
いつものことでと苦笑いを浮かべて、体育館のステージの方へと歩いて行く。
今吉さんは青峰が部活に出ないことなんて百も承知でそれを許しているから煩く言わないのだろう。
けど、出てほしいのもある。
だから、あの人はなんの関係もない俺に絡んでくるのだ。

「そんなことしても、俺はもう部活入る気はないんだけど…」

独り言さえも元気な声にかき消されつつ、俺はステージの階段を上った。
舞台袖、暗幕に隠れて足が見えた。

「青峰?」
「……」

ひょこっと覗けば、ぐっすりと眠っている顔があった。
寝不足なのか、隈が見える。俺は青峰の足を跨ぎ、顔をもっと近くで見ようと覗き込む。
大体こんな暗がりのところに隠れて、ボールの音を聞いているのに何が部活には出ない、だ。
それに、黒子には運命の相手がいたとか何とか…桃井さんに慰めてあげてと言われたが、どこまで沈めば気が済むのか。

「ばかだなぁ、青峰」

運命とかそんなん関係ない。
むしろ、それを言うなら黒子と青峰の方だろ。
黒子から聞いたが、あんな風に出会ってそこから世界が一変したと言っていた。
だから、運命は青峰なんだ。
どうしてこいつって、こんななんだろ。
一番求められてるのに、それに気づかない。
俺も…お前が欲しいよ。
頬に触れて、それでも青峰は起きなかった。

「ん…」

自分からキスをした。
何度も触れ合わせて、唇を甘噛んで…。
心地よさに浸っていると、青峰の腕が俺の腰に回され逃げられなくする。顔を引こうとすれば、後頭部を押さえられもっと深くキスをする事になる。

「んんっ…ふ、ぅ」

咥内まで舌が入って舐め回されれば、だんだんと息が詰まってくる。
もう無理だと思ったところでようやく解放され青峰の胸に凭れた。

「んだよ、もうおわりか?」
「だって、青峰激しいんだもん。まだ学校なのに」
「名前が先にキスしてきたんだろ」
「……まぁ」

俺からキスをして返り討ちに会うことはよくある。
学習しないんじゃなくて、そういう強引なとこが好きなのだ。
そうやって、乱暴で強引でちょっと優しい青峰が堪らなく。
俺マゾに目覚めたのかも…。

「ここでヤるか?」
「やるかアホ峰…帰ってから、な」
「よし、帰るか」
「ちょっ、なに…お前っ」

焦れてろ、と笑ったのに青峰はいきなり俺を抱き上げると立ち上がった。
嫌な予感を覚えたのも束の間、そのまま歩き出し、ステージにでる。
バスケ部の視線を感じて俺は自分の顔を両手で隠した。

「青峰、そんなとこにおったんか。部活はやってかへんのか?」
「は?でねぇよ」
「青峰ぇ、てめぇまたそんなこといいやがってっ」

でてきた青峰に今吉さんが話しかけたことで会話ができてしまった。
こんな状態で引き止めるなよ、と言いたいのを抑えこんだ。
きっと、今吉さんの思うツボなのだから。

「ほんま、名前は青峰発見器やなぁ」
「うっせぇよ」
「まぁ、引き止めて後で怒られても恐ろしいし、はよ行き」

ワザとだワザとだワザとだ、と心の中で呪いを唱えつつも歩き出した青峰にほっとする。
つか、俺男なのに軽々抱き上げられてるって如何なものか。
体育館をでたあたりで、流石に降ろせと暴れた。

「アホ峰っ、エロ峰っ、お前なんてことしてんだよっ」
「あ?別にいいだろ。名前は俺のだ」
「よくない、あんな恥かかせやがって。それに、あの人達は普通に俺たちの関係知ってるだろ」

ったく、にやついてんのわかってるんだよ。
単に見せ付けたかっただけなのも見え見えだ。

「俺のだろ」
「お前のだ」
「名前」
「…大輝の、だ」

名前まで催促されて言ってやれば満足そうに笑う。
ポケットに手を入れて帰り道を歩きながらどうしようもない奴だなとこちらもつられて笑った。



そうして、俺の家までくるといつものように上がる。
何か入れようかと問いかけたが、いらねぇと呟いて上着を脱いでいる。
前はバスケばかりやってたせいか、制服はあまり見なかった。
といっても、同じクラスだったので機会はあったが…。
飲まないならいいか、とソファに座るといきなり青峰が覆い被さってきた。

「あれだけ煽ったんだ、いいんだろ?」
「あれで煽られたんだ?それは嬉しいな」

青峰の言葉に笑みを浮かべた。
俺じゃ、こういう風にしか慰めてやれないから…。
頭を抱き寄せてくしゃくしゃと髪を乱す。
されるがままになって、ぎゅっと抱きしめられた。
落ち込んでるのか、とは聞かない。
聞いたところで落ち込んでいることすら自覚していないのだから。

「青峰、ベッドがいい」
「…ああ」

返事をしながらしばらくそのままでいた。
俺は広い背中を撫でて、悲しいことを思う青峰を見つめていた。
もう少し周りをみてやれば、こいつにも見えてくるんじゃないんだろうか。
距離を置きながらもしっかりと青峰を信頼する仲間が。
ああ、羨ましいな。
今吉さんに入部を勧められているとはいえ、もうバスケはしないと決めた。
それに、俺は黒子のいう影にも光にもなれない。
こうして、青峰が迷えば手を差し伸べ、安らげる空間を与えることしかできないけど…でも、俺の役割はこれでいい。
青峰が、一緒にいると言ってくれたあの日からここが俺の特別になったのだから。

「ヤる前に寝る?」
「誰が、そんなことするかよ」

言い切った青峰は再び俺を抱えて…つか、男一人軽々抱き上げるなんてちょっとしたプライドが崩れる瞬間…寝室に入った。さっきより少しばかり顔色が良い。

「ん…なら、たくさんヤっちゃって」
「かはっ、お前ホント気持ちいいの好きな」
「おう、好きだよ。それに、青峰だからな」

お前なら、何でも許すし何してもいい。
いっそ壊されたいぐらいだ、なんて…ここまで言えば絶対に頭に乗るから口を塞ぐように口付け、優しく頬を両手で包み込んだ。




服を脱がされ、全身をこれでもかと舐めたりキスマークをつけられたりされた後人にいえないあんな場所を舐められたときは本気で嫌がった。

「やだって、アホ峰、エロ峰っ」
「お前のボキャブラリーそれしかねぇのか」

うつ伏せにされている状態で手を青峰の頭において距離をとろうとするが、こっちは後ろが見えないし腰を捕まれているため不利だ。
ペロリと舐められただけで、自分の口からは自分じゃない高い声が漏れる。

「だって、アッ…やっ、やだぁっ」
「もう少し、させろ」
「ヒッ、ぬるぬるする…きもちわるいぃ」

指じゃない、ぬめりと柔らかい感触にシーツを握りしめた。
そこからぞわぞわとして身体中から力が抜けていく。
ふぅふぅと息をしながら耐えているとだんだんその感触に慣れ、入り口が抜き差しする度締め付け始める。

「お、慣れてきた」
「うっ、もう…やめ」
「止めるわけねーだろ、病み付きになるまでする」
「ばかぁ」

変なところで意地を発揮しないでくれと泣きたくなりながらしっかりたっぷりとそこを舐め回した後指が入り込んでくる。
もう舐められただけで限界が近かったのに引き延ばすかのようにされた快楽にだんだん理性も切れてくる。

「うっ…ふぅ、んぁっ」
「声抑えんなよ。もっとされたいのか?」
「ちがっ、もっ…あ、おみねぇ」

強請るように腰がカクカクと揺れ動いて、自分の声も大きくなっていく。
でる、とうわ言を繰り返して、腰を掴む青峰の手を握った。

「はぅっ、あっあっあっ…うぁん…青峰ぇ」
「今度は俺のな」

もう少しでイけると言うところで指が引き抜かれた。
恨めしい目を向けると夢中になりすぎたと悪びれもなく謝りながら笑う。
ばかやろうと喚きたかったが、腕を後ろに引かれて起きあがらされぺたんと座ったら胡座をかいた青峰の足。
そして、狭間に触れる熱にピクッと身体を震わせた。

「もう少し後ろ、こい」
「このまま?」
「いつもと違うのも楽しいだろ?」

最初は身体の負担を考えて四つん這いの体勢が多かった。
それが、正面からが良いと言うことになって正常位ばかりになっていた。
確かに新しい体位というのは擦れるところが変わるので快楽も違う。
けれど、これじゃキスで自分の喘ぎを抑えることができない。
ヤダともがくのに青峰は俺の脇に手を入れて自身をあてがう。

「やだって、アホ峰、ばかみねぇ…ふやぁああっ」
「はっ、キッツ」

一気に入り込んできた肉塊に俺は背を反らして塞ぎきれない喘ぎに自分の口を手で押さえた。

「ふぅ、んんっ…んぅ、やぁっ」
「声出せよ、きもちいのかわかんねーだろ」
「あっやぁ、ん」

これだけ反応してればそれぐらいわかるだろ、と悪態をつきたくても深くくわえ込んだまま揺さぶられたらそれどころじゃなくなる。
青峰の指を絡ませて握られて、身体が揺れると心許なくて手に力を込めてしまう。
爪を立てそうになって慌てて緩める。
なのに、青峰は好き勝手動き出して逃げようと足を立てたら前に手を回して抱きしめてくる。

「んっ、あおみね…手、離して」
「爪、立てろよ」
「っ…ばか…だれが」

耳に囁かれて、ワザとそうしているのに気付き吐き捨てるように絞り出した。
そんなことするわけないだろ、自虐的になるのはほどほどにしろと俺は後ろに頭突きを食らわせた。

「いっ…名前、なにしやがるっ」
「お前は、負けないんだろ。勝ち続けるんだろっ、ならそんな苦しい顔すんな…青峰は青峰だろ」

やっぱりこの体勢じゃだめだ、顔がみたい。
抱きしめてやりたい。
そう思って振り返れば、罰の悪そうな顔があった。

「ばぁか、んな顔してんな」
「名前…」
「手、離せってば」

するりと解けた指先、俺は自分で青峰の上から抜け出すと向き合う。
首に手をかけチュッと口付けた。

「もうおいたはすんなよ?」
「…さぁな」
「素直になれアホ峰」

クスクスと笑って次は自分から入れていく。
さっきまではいってたせいか自分から飲み込んで行くのがわかり、恥ずかしさに肩に顔を押し付ける。
青峰の匂いに煽られて、回している手に力を込めてしまう。

「う、んぁ…」
「なまえ、もどかしいんだけど」
「うっさい、すぐにいれてやるから待ってろ」

こっちだって色々と葛藤があるんだと言いながら腰を沈めていく。
全て入れると呼吸を整えるが青峰の手がさわさわとわき腹を撫でる。

「ひ、まってっていってる…あお、みね…あっあぅ」
「待てねぇ」

こっちだって限界だと余裕のない声で言われて頭の中まで痺れるような感覚が身体を走り抜けた。
青峰は俺の感じるところを重点的に擦ってきて身体から力が抜ける。
寄りかかるように身体を預けて喘いだ。
青峰はだんだんと動きを激しくしてきて俺はただ締め付けるだけになった。

「名前、名前」
「ん、だいき…だいきぃ、イく…イくっ」
「出せよ…名前、好きだ」

囁くように吹き込まれた告白。
こんなときに言うなんて卑怯だと思う。
俺は泣きたくなって、それでも中の刺激に耐えられず身体を震わせて白濁を放った。
中の青峰もビクビク震えて出された気配がした。
今日は俺が動いてばかりで疲れてしまい、思いっきり身体を預ける。

「お、なんだよ?」
「傷つけられた、慰めろ」
「名前が傷つくのかよ」
「当たり前だ、青峰が辛いと俺も辛いんだよ」

くしゃくしゃと青峰の頭をかき回してやりながら何度も口付ける。
青峰はただ俺の身体を優しく抱きしめていた。

「なんか、だんだん元気になってるんだけど?」
「そりゃしょーがねぇだろ。もう一回させろ」
「ちょ、青峰…俺もうむりっ」
「あん?今度は名前が下だから問題ねぇよ」
「大ありだっ、やめっ…青峰っ」

すっかり元気になった青峰は入れたまま俺の身体を倒し、上に覆い被さってきた。
抵抗するが宥めるようにキスをされて、結局許すのだ。
こいつは不器用な癖して俺に甘えるのはうまかったりするので質が悪い。
慰めてやるつもりが、上手く身体を奪われている気がする今日この頃。
けどまぁ、俺の前なら肩の力を抜けるというなら仕方ないかなぁと思ってしまうのだ。
赤司や黒子あたりに甘すぎると言われるだろうが、構わない。
俺は青峰を甘やかすって決めたんだし。
青峰が俺をとるなら俺だってお前に味方する。

「抵抗すんの止めたのか?」
「もういい、早くくれよ」

どんなであれ、こいつの嬉しそうな顔が好きだからそれでいい。




END



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