黒バス夢 | ナノ


▽ 秋咲きみぞれ



俺はそわそわしてした。
今日は俺の誕生日で、朝練から先輩達に洗礼を受けクラスでも祝ってもらって、ただ一人には会うことができなかったんだけど。
同じクラスなのに、授業以外で顔を見なかった。
いつもうるさいぐらいにうろちょろするくせに…。
で、なんでソワソワしてんのかっていうと、誕生日プレゼントを忘れたって言って持ってきてくれることになったから。

「真ちゃんが忘れ物って珍しいよな」

よりにも寄って俺の誕生日とか、なにかの意図でもあるのかと訝しむが緑間のことなので本当になんでもないことが多い。
そして、家のチャイムが鳴った。

「おにいちゃーん、緑間さんきたよー」
「はいはい、いまいく」

妹ちゃんに呼ばれて俺は一階へと駆け下りた。
玄関には寒くないようにと入れてもらったのだろう緑間が立っていた。

「わざわざありがとな、真ちゃん」
「ああ、俺からのプレゼントは最近欲しがってたCDと…これなのだよ」
「やぁ」
「名前っ!?」

手渡されたCDを見て、嬉しくて…続けられた言葉にまだ何かあるのかと顔を上げたら、緑間の後ろから名前が現れた。
緑間の後ろにすっぽり隠れていた。
夜は寒くて、裾の長い上着を着ていたからまったく気づかなかった。

「ベタだけど、プレゼントは…俺?」
「うざっ」
「酷くない!?」
「では、俺はこれで失礼するのだよ」
「ありがとう、緑間」
「真ちゃんは上がっていかないのかよ?」
「…それではお前が困るだろう、高尾」

緑間を引き止めれば、クイッとメガネを押し上げて言うなり帰って行った。
残された名前はニコニコと笑っていて上げろという風体だ。

「…明日学校だぜ?」
「それが?」
「ったく、どうぞ」

引くようすのない名前を仕方なく家に上げた。
母親と妹は一階でテレビを見ている、まだ上に来ることはないだろう。
って、なに期待してんだよ、俺!?
まぁ、そりゃ恋人なわけで…俺の誕生日で、名前はプレゼントは俺とか言ってるし…。
複雑な心境に囚われている俺を知ってか知らずか、名前は笑顔で俺の後ろを歩き、部屋に入った途端背後で鍵のかかる音が聞こえた…。

「和成、心の準備できた?」
「う…」

後ろから腕が回ってきて、捕らわれる。
俺は何も言わず黙った。
沈黙が辺りを包んで、何もいわなかった。
教室やバスケ部ではうるさいぐらいなのに二人きりになると途端に静かになる。
まるで、俺が何か話すのをじっと待つみたいに。

「名前…」
「ん?」
「ケーキ」
「食べる?買ってきた」

意外にも用意周到ときた。
目の前に出されたケーキの箱み見ればどこにもっていたんだと言いたくなる。

「……」
「……」
「お前さぁっ」
「ん?」

二人きりで緊張してるのが伝わってるはずなのに、どうしていつもみたいにうるさくしてくれないのか。
理不尽なことだと思いながらも名前が俺を甘やかすからダメなのだと自分を正当化する。
勢いよく振り返れば優しげな視線と交わる。
なんでそんな顔してんだよ。
こっちが嫌がってもいつも笑って、いくらうざがっても傍に居続ける。

「どこまで優しい奴でいるつもりだよ、俺はそんなに甘えないっつの!!」
「知ってるよ、そんなことぐらい」

和成、強いもんね。と当たり前みたいに言って正面から抱きしめられた。
なにがしたいんだ、こいつと思うのに…その言葉がそっと胸に落ちてくる。

「クラスの人気者だし、あの緑間を手懐けるし…和成かっこいいよ」
「名前は…なんだよ」
「俺は、そんな和成を甘やかすために現れたのでーす」

人差し指を立てて偉そうに言う名前に、俺は一瞬あっけにとられた。
なんつうか、ばかだよなぁ。

「なら、甘やかせよ…」
「もちろん」

ちゅっと頬に可愛らしいキスをされて、ケーキは後にしようとベッドに促される。
名前とこういうことをするのは別に初めてじゃないのに妙にドキドキする。
ベッドに寝かされて、覆い被さってくる名前を見上げたら優しく頬を撫でられた。

「なんか、和成が大人しいのって新鮮」
「…抵抗して欲しいのかよ?」
「いや、今日は特別だから。これで充分だよ」

制服を脱がされて、一方的なのが嫌で俺も名前の服を脱がした。
目が合えばキスをして、名前に甘やかされる。
たまには、こんなのも良いのかもしれないなと感じながら身を委ねていたが、ふと思い立った。

「っ…ここ俺んち!!」
「そーだね」
「下にいるだろ」
「…そーだね」

危うく流されそうになったが、二人きりじゃないと言うのに気付いて身体を起こそうとしたら名前に肩を押さえられた。

「お前、このままヤる気じゃねぇよな!?」
「この期に及んでそれはないって、お預けなんて寂しいこと言うなよ」
「アッ…」

いい声が耳に入り込んできて、思わず声が漏れる。
両手で塞ぎながら睨むが名前はニコニコと笑っている。
性質が悪いっ。
足をバタバタとさせるが、その拍子に下着が抜けた。

「ばっ、かやろ」
「しー、聞こえちゃうから」

声を上げようとしたら途端に階下を意識させられる。
聞こえちゃうから、じゃねぇだろっ。
言いたいのに言えない。
その切妙なジレンマに囚われながら身体を舐められた。
いきなりの冷たい舌にぴくっと身体が震える。

「プレゼントは俺だからさ、ちゃんと受け取ってもらわないと…」
「な…まさか」
「ゆっくり感じような」

信じられない気持ちで聞き返すが、返ってきたのは機嫌のいい極上スマイルだった。



絶対コイツ年齢詐称したおやじだと、感じていた。
さっきからねちっこく舐められる自身は限界に達していて、でもここでだしたら名前の口の中へと放ってしまうと思ったらシーツを握りしめて耐えるしかない。

「はっ…あふ…んんっ」
「もう、強情だな…だしてもいいのに」

むしろそのほうが布団とかを汚さずに済むのに、という名前の声は聞こえないふりでようやく解放された自身をほめたたえたい。
呼吸を整えていると後ろに触れてくる、名前の指先。
最初は緊張に固く閉ざしていたが、入口を根気強く揉まれるとゆっくりと開いてくる。
そこから、指をさしこまれ中を撫でてくる。

「んっ…っ…」
「声でそうになったら塞いでやるから」

優しく言いながら額にチュッとキスをして、中の指が二本に増えた。
ぐちゅぐちゅっといつの間にかローションで濡らされたらしい秘部から卑猥な水音が聞こえてくる。
指が抜けて自身が宛がわれるといよいよ声が抑えれるか不安になってくる。

「名前、なまえ…ぁっ」
「はいはい、おいで和成」

ここからは理性も保っていれるかわからない、俺は両手を伸ばして助けを求めた。
ゆっくりと入りこんでくる熱に息を吐く。

「ほら、和成にあげるよ…俺の」
「ん…おく、まで…くれよ」

ちゃんと気持ち良くしろよと笑みを浮かべて、奥へ奥へと来るそれに自分からキスをした。
溢れる声を名前の口へと吐き出して、舌をからめられた。

「んんーっ…ぅ…ふぁっ」
「かず…」

抜きだしされるそれが、俺の中を埋め尽くしてしめつける。
これ、俺の…。
自分を焦がすそれが自分だけのものだと思えば思うほどどうしようもなくなって、中を突き上げるその刺激に名前を見つめれば欲情をにじませた視線と交わる。
ヤバい、と思ったのに身体は止まらなかった。

「ふぁっ…やだ、やめっ…ぁあっ」
「だめ、そんな顔されたら止まんない…だろ」

それに、中もすごいよ、と笑われて唇を離した名前は俺の腰を掴むなりめちゃくちゃに突き上げてきた。
途中から口の中に指をつっこまれて声を抑えるようにされたけど、そのときには理性なんてなかった。
ただ、気持ちのいいそれを一番いいところに擦りつけてほしくてたまらなかったのだ。

自分から腰を振っていた気がするが、情事が終わってしまえば後悔しかなかった。

「ねぇ、機嫌直してよ…和成」
「気付かれてたらお前のせいだ」
「ごめんって、ちょっとキレた…」
「照れながらえげつないこと言うなっ」

名前の背中に蹴りをいれてやるが、同時が風もなくケーキの箱を開けている。
こっちは腰が立たなくなっているというのに、一人だけ美味しそうなもの食べやがってと思っていると口元に運ばれてきたケーキに驚く。

「なに驚いてるんだよ、誕生日おめでと」
「……いや、なんか嬉しいな」
「喜んでもらえて何より」

口あけて、といわれるまま開けば口に運ばれてくるケーキはとても美味しかった。
いつもは誰かのためにと思っている俺だけど、こういう日だけは…甘やかされるのも悪くないかな…とか。
だから、緑間はあんなことを言ったのかと今更になって思うと少し恥ずかしく、顔を枕に埋めたらいらないと勘違いした名前がケーキを食べてしまうのを俺は問答無用で殴った。

「それ、俺の」
「はいはい、あーんして」

クスクスと笑われるのも構わず口を開けた。
今日だけは、存分に甘やかされてやろうなんて…。






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