黒バス夢 | ナノ


▽ 秘密の時間



昼休み、俺は恋人を探して教室をでた。
いつものように購買でパンと飲み物を買って、ついでに体育館のところにあった自販機でおしるこを買うのも忘れない。

「これは大事な交渉材料だから、な」

眼鏡をひきあげると笑っておしるこ缶を手で遊びながらボールの音がする体育館を覗き込んだ。
すぐそこには高尾がいて手を伸ばし肩をとんとんと叩いた。

「お、名前じゃん。どしたー?」
「エース様は御在宅で?」
「いるぜ、絶賛自主練中」

親指で示された方を見ればいつものようにゴールを見据える真太郎がいた。
あんなに見つめて、たまには俺の方もあれぐらい真剣に見てくれてもいいのになと少しの嫉妬を滲ませて眺めた後高尾を見る。

「高尾は?」
「俺はアイツ待ち」

少し頬を赤くさせて言う高尾にニヤリと笑ってやれば、笑うなってと咎められた。
本人にはこんな顔滅多に見せないんだろうな。

「お前、ホントツンデレ」
「うっさいよ。俺は、アイツに甘い顔なんかしてやんねぇの」
「愛されちゃって、妬けるねぇ」
「だから、ホントにいいからそういう話しは」

あっち行ってってと照れながら体育館へ入れと招かれれば上履きを脱ぎすて中へと入る。
代わりに高尾は外へと行ってしまった。
きっと探しに言ったんだろう。購買で手こずっていたことは内緒にしておこうとしばらく戻ってこないのを予想して俺は真太郎の背後へと向かった。

「名前、きたのか」
「あれ?どうしてばれちゃった?」
「話し声が聞こえたのだよ」

後ろから抱きしめてやろうかと思えば手を伸ばす前に真太郎が振りかえった。
額に少しの汗をにじませる奴はどこまでもかっこよく見える。
真太郎が無愛想でよかった、こんなかっこいい姿なんか女子が見たら一発だもんな。
高尾でなんとか真太郎がかっこいいという真実が隠されているが、秘かに人気を集めているのを俺は知っている。
それに、集中しているかと思ったらこっちに気づいてるとかどれだけ俺贔屓なんだよ。

「俺の声は聞こえるんだ?」
「…煩いからだろう」
「こーんな広い体育館で、隅で話してただけなのに…真太郎の耳にはしっかり聞こえちゃうんだ」
「っ…」

お前が俺に染まってるってこと、気付いてないのかな。
いや、それはそれでとても可愛いと思うし、そのまま気付かないでほしいと思うぐらいには甘やかしたいしねぇ。
俺は手を伸ばして真太郎の頬に触れた。

「これじゃ、キスできないじゃん」
「こんなところでするな」
「一瞬だし、ね?」
「おいっ…ん」

どうしても縮まらない身長差、ホント最悪な位にね。
けれど、まぁそこはしかたないことだしあまり気にしないことにしてる。
キスできない時には俺が背伸びをして真太郎の頭を掴み引き寄せればいいんだから。
無理やり引き寄せて触れた唇、眼鏡がカチリと当たるのが耳触りだ。
最近大会ばっかで練習詰め、自主練にも余念がなかったためこっちは禁欲生活。
一瞬で済むはずないだろ。
真太郎に殴られることはもう覚悟した。
舌を差し入れて咥内を舐める。抵抗してくる真太郎の手をとって俺の腰へと回させた。
これって、なんか俺が抱かれる風味だけど、こうして手をどこかに置いておかないと素直になってくれないから仕方ない。
案の定ぎゅっと握る手は何かに耐えるようにしていて、俺はふっと笑ってしまう。

「もっと、ほしい…部室、空いてたっけ?」
「なにを…」
「何って…決まってるだろ?秘密の時間」

唇を離せば目元を潤ませている真太郎と目があった。
しーっと人差し指を口に持っていけばその頬はこの先を予想したのか一気に赤くなる。
こんなに可愛い顔は俺だけの特別だって知ってるから尚更、見たくなるんだろ。

「さ、そうと決まればボールは放課後」
「お、おい」
「なに?嫌じゃないだろ」

真太郎の目、もう後戻りできない位だ。
ボールを籠に放り投げて真太郎の手を引いた。
戸惑ったような声に振り返り、口元だけで笑ってやれば高尾は?と掠れた声で聞いてくる。

「うん、高尾は多分もう戻ってこないよ」

アイツにも真太郎より優先するものがある。
それを知っているからか真太郎はそれ以上何も言うことなく俺が手を引くのを待っている。
なんつーか、自分からくることもできなくて引いてもらうの待ってるって、それだけですっごい可愛いの、わかってないんだろうな。
思わず漏れそうになる笑い声を抑えながら部室に入る。
鍵もしっかり閉めた。
その間も手持無沙汰に待っている真太郎を振りかえり、壁に追い詰めた。

「なぁ、俺我慢できない」
「手だけだ、それ以上は…今日の部活に響くのだよ」
「うーん、わかった」

わかっただけだけれど、それ以上は何も言わない。
俺は真太郎のシャツを引き口付けた。
そして気を抜くと触れる眼鏡、いい加減学習しようと思うが夢中になるとすっかり忘れるのだ。

「邪魔なのだよ」
「わかってるって」
「名前、お前はそんなに視力悪くないだろ」
「席後ろだから授業中だけつけてるんだって、外すの忘れただけ」

俺苦笑を浮かべてポケットにしまう。
そんなところにしまうな、ちゃんと管理しろという真太郎の口を再びふさぐとその間にシャツのボタンを外していく。
真太郎こそ、制服のままやっていれば汗で透けてすごいことになるのをしらないのか。
こんな可愛い乳首が誰かの目にさらされるなんて…想像しただけで気が気じゃない。

「真太郎、今度からはTシャツに着替えてから練習しような?」
「は?」

ちゅっと乳首に口付けて、びくっと反応するのを楽しむ。
その間にもベルトに手をかける。
素早く外して、真太郎も俺の方に手を出してベルトを解いてくる。
俺は自身だけ出して真太郎はシャツを肌蹴させ、自身を出している状態だ。
お互いに擦り合う。
これはこれで気持ちいいんだけど、ちょっと物足りない。
主に、真太郎の方が。
見あげれば気持ちよさそうにしているが少し眉間にしわが寄っている。
それを見逃せる俺じゃないんだ。

「真太郎、力抜いて…こっち寄っかかって」
「なまえ…?」
「いい子だ、そのまま」

意識も少し追いついていないような舌ったらずさでこっちをみた真太郎の髪を優しく撫でる。
そして、その手を後ろへと回した。
双球に触れ、奥へといれるとぴくっと反応するが抵抗はしない。
我慢できなかったんだよな、わかるよ。
近くにある耳へとキスをすればそれにも感じるのか過剰に反応する。
俺だってこんなに切羽詰まってる、俺より禁欲的な真太郎が手コキだけで満足できるわけない。

「手…だけだ、ぞ」
「ん…」

返事ともつかない声を出しながら指を入れる。
自身からの先走りを塗りつけながらぐちぐちと弄った。
だんだん俺の肩にかかる息があがってくる、そろそろかと二本目を入れて入り口だけで動かしていた指をもっと奥へといれていく。

「っ…なまえ、あぁっ…ふ…」
「声、我慢しなくてもいいぞ?」
「んんっ…ぅ…」

さっき予鈴が鳴ったからそろそろ授業が始まるはず。
こっちの体育館はバスケ部専用なので使われることはない。
声を出しても誰も気づきはしないが、真太郎は頑なにそれを拒んだ。
それだけ恥ずかしいってことなんだろう。
でも、それをして辛くなるのは自分だってことに気づくことはないらしい。
声って、抑えれば抑えるほど敏感になるだけなんだけどね。
俺はそっと笑って三本に増やす、放って置いたままだったからか狭くなってしまったそこを広げるように動かす。

「お、い…名前…!?」
「大丈夫だいじょうぶ、なんとかする」
「おまえっ…」

俺の意図に気づいた真太郎の中から指を抜くと身体を反転させ壁に手をつかせる。
こんなところで寝かせるわけにはいかないし、この身長差では正面からするのは無理。
正面からは今度の休日にでもさせてもらうことにして今はこれで我慢して、と背中にちゅっとキスすると真太郎の手で育った自身を秘部へと宛がう。

「なまえっ…」
「力抜いて」

泣きそうな顔で振り返った真太郎につい加虐心が煽られる。
やり過ぎないように注意しながらゆっくりといれ始めた。
慣れるまでは無理にすると部活に支障をきたしてしまう。
誰よりも人一倍努力をするやつだからそういうのだけはやりたくない。
時間をかけて全部入れれば少し休憩、暇つぶしに前に手を回して乳首を弄る。
すると絶妙な力加減でしめつけてくるから、自分の首を絞めてしまった気分になる。

「うごいてい?」
「はやく…して、くれ」

ぎゅっと手を握られて囁かれた言葉に俺の理性はこと切れる寸前。
腰を掴むなりゴリゴリといいところを擦ってやる。
真太郎は自分の口に手を当てていて、いつもより中が敏感になっているらしい。
声を抑えているのもあって水音も一緒に響く。

「すっげぇ、エロい音聞こえまくり」
「ひっ…名前…なまえ」
「真太郎、好きだよ」

握られたままの手を握り直して腰を打ちつけた。
真太郎の声も抑えられないところまで来ているらしく小さく洩れている。
このまま喘いでしまえばいいのにと思うが、どちらでも構わない。どっちにしろ、俺はどの真太郎も可愛いと思うんだから。

「なまえ…も…」
「ん、イって…」

自身を掌で覆うと最奥を突き上げ、真太郎の白濁を手に受け止め俺は中へと放った。
ゆっくりと抜けば力を失ったようにそこにへたり込んでしまって、やりすぎたかなと心配しつつ頬に手を添えてこちらを向かせれば涙にぬれた瞳がこちらを見た。

「おまえ、中にだしたな?」
「わかったとは言ったけど実行するとは言ってない。ちゃんと出すから」

ちゅっとキスをして慰めるが、ちょっと納得してない顔。
まぁ、そうだろうな。
不機嫌王子のためにしっかりと用意のいい俺は服を直すなり部室を出た。
ついでに、外の水場で手を洗ってしまう。
体育館へと置き去りにしてしまったパンとおしるこを持ち戻る。

「名前、一発殴らせるのだよ」
「ちょっ、ちょっと待てって。交渉しよう、真太郎」
「は?」
「これ、中に出したのは悪いと思ってるし俺がちゃんと処理します。だから、許して?」

戻るなり聞こえてきた地を這うような声。
俺は慌てて手を出し、持ってきたおしるこを目の前に出してやるとにっこりと笑う。
真太郎の握られた掌をあけてぽんとそこにおしるこを握らせた。

「…ぬるい」
「そりゃ、外に置いたままだったから…」

夏だし仕方ないだろ?と自分の飲み物もぬるくなってしまっているのに苦笑を浮かべた。

「駄目?」
「ふぅ…許さないとは、言ってないのだよ」
「あ、じゃあ」
「忘れないがな」
「……へ?」

にやりと笑った真太郎は眼鏡を押し上げ俺に最終宣告を告げたのだった。
それだったら、許さなくても忘れてくれた方がうれしかったなぁと思いつつ、真太郎が楽しそうなのでいいとする。
それに、俺にはまだ一仕事残っているし。
今度は前からベンチに寝転がってもらってしようと思いつつ、もうしばらくその笑顔を見ていることにしようと暢気に思ったのだった。





END



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