森にてエンカウント




だいぶ走ったな、と振り返るが唯一の出入口らしい場所から誰かが出てくる様子はない。どうやらあの謎の男は振り切れたようだ。

「ここまで来れば追ってこないよな……。さてアルカリ……アルカリ……まったく、この先教団的な看板でも建てたらいいのにな……む?"フィルフィの森"……?」




















「うっひょ〜〜〜獲物発見!ユー・アー・ブレックファースト!食前酒の前の軽いおつまみでありんす!!」

「え?、え?あ、あの?」


何んだ今日は…さっきから変な人ばかり会ってる気がする…
ルカは約束のフルフィの森の奥の大きな木を目指してなんとかモンスター達を倒して木の目前まで来た。


僕もアスラのように、剣を使えるやれば出来るんだ!
そう思いながらゴールまで残りあと少し、……のところで派手な赤い格好をした青年が倒れていた為、ルカが声をかけた所先程のような理解し難い変な言葉を言われ、混乱していた。


「えっと?あの…」


何て返せばいいんだろう…そう思っていると今度は
背後からまた別の声が聞こえてきた。


「食前酒の前の軽いおつまみか……食前に酒を飲むのは感心しないな」

「え」


声がした方に振り向くと先ほど街でぶつかった(恐らく)カップルの女性が先程ぶつかった時同様不機嫌そうな顔をしていて、手には大きな太刀を構えていた。
ルカが「さっきの……」と声をかける前に赤い服の男が挑発的な笑みを浮かべて持っていた槍を突き出す。


「およよ?美人なバリボーちゃん、その胸についたメロン俺にくれないか?」

「……生憎だかメロンはもってない。持ってたとしてもやらん」

「あららハスタ君フられた〜心が傷ついたピョロよ?」

「そうか。それはすまない。心についた傷は一生治らないと言われているが……しかし、我が故郷アシハラで心を癒すことは可能だ」

「いやん、僕ちんデートに誘われちった〜」




「あの……」

すみませんそこ通ってもいいですか。
いや、帰ってもいいですか。
いいや違う,はやく退いて貰ってもいいですか。


「デート?それは違う。アシハラはデートスポット等はない残念だな」


「ありゃりゃスポットは無くても君のスパッツで我輩満足ピョロよ、もれなく破り捨てるぜ」


「スパッツは可燃だポイ捨て良くない」


「窓辺のマーガレットことハスタ氏は常にバーニングさ、ごみの分別など我輩の前では足元にも及ばぬ」

「窓辺のマーガリン?、どこのメーカーのものだ」

「ハスタさんはお手頃な価格ではかえませぇん!」


会話のキャッチボール、じゃなくてドッチボールを始めた二人にルカは大分帰りたくなった。なんで会話が続いているんだ。いやもう帰りたい。
というかもう……帰ってもいいよね。
うん帰ろう。食べ損ねた母さん特性のチーズスープが僕をきっと待っている。


きっと奥にいるであろうエディとニーノへの言い訳はどうしようかと悩んでいるといつの間にか二人は本格的に武器に手を掛けて構えを始めていた。


「ふ……中々やるな、ならばお手合わせを願おうか」


「我輩、子供の甲高い声でストレスがたまっていた為それを解消したかったのでごわす」


え、え?
何で二人とも武器を構えるの?話の展開が全くわからないまま二人は何故かお互いにいつでも戦えるように身構える。


「あ、え?ちょっ……」

流石に喧嘩を始めるのであれば止めなきゃ(止められるかは別として)いけないと、とっさに女性の前に出るが派手な男はさして気にもせずにケタケタと笑った。


「しかーし、ハスタ氏は戦場でしか人を殺さないと決めてんのよねコレが。だから……バイビー!!」


そう言って派手な男は構えてた武器をしまいながらルカを見てニヤリと笑い、フルフィの森の出口へ走り去った。


「なんだったんだ……」


「おい、」


「は、はい!!」

ああ、まだこの女の人がいたよ!!
びくびくしながら彼女の顔を見る。やっぱり美人だけど怖いよ!!


「な、なんですか?」

「腕、怪我をしているな」

「あ……、これはさっきオタオタに……」


フルフィの森のモンスターに襲われた際に少し怪我をしたのだ。小さいとはいえ魔物は魔物だ。だがたいした怪我でもないし、後で消毒すればいいと思っていたが「見せてみろ」と怪我をした方の手をいきなり引かれ、バランスを崩した僕は頭から女の人の方に倒れた。


「えっ!!?ちょ…っ??!」









女性の方へ倒れた。

正確にいえば
女の人の程よくふくよかな胸に、もたれ掛かるような形で倒れてしまった。



「うぶ…!!っ〜〜〜!!!!???」


息が出来ない!!
ややややや柔らかいぃぃ!!!!!そして割と大きいぃいぃい!!!そう言えばさっきメロンって言われてた……ってそうじゃなくてああああああああ……!!!!!!どっどうすればうぁぁぁぁぁぁ…………!!


「確かにたいした怪我ではないが一応治療を……、おい?」


プツン、と頭の中で何かが切れた音がして僕の意識は反転した。












「ん?……寝てしまったのか……?仕方がないとりあえずモンスターも居なさそうだしここに寝かせておくか……」









「む?ルカとやら、鼻からも血が出てるぞ」


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