愛,逢,哀 | ナノ
とある青年の話



病弱な彼女は元々,そう長くは生きられなかった
それなのに、ある事件のせいで更に寿命が縮まってしまった


(私,生まれ変わるならミナキを導く存在になりたいな)

《馬鹿いうな,一緒に生きて一緒に死のう》


俺を導く存在になりたい
ベットに横たわる彼女の口癖だった


(うん。…生きられたらね…)

《そんなこと言わないでくれ…》

だけど俺はそんなこと望んでいないし,
二人で生きていられたら,充分すぎるほどの幸せだった





だけどそれから幾月か経ち,
彼女は文字通り,眠るように静かに死んだ





その数日後,俺は彼女の葬式に出ずにエンジュシティのスズの塔を登った




《彼女を生き返らせてほしい
どんな姿でも愛す,彼女の願いを叶えてくれないか》


俺はそう言って彼女を、
ホウオウに
甦らせてほしいと頼んだ

彼の願いを叶えたホウオウは彼女を生き返らせた













やり直せない俺の替わりに,

別の世界でスイクンとして、パラレルワールドに




(俺を導く存在として)
































ある日、

ふと思い出すように何かを失った気がするんだ
とても大切な何かを

でもその何かが分からないんだ

探しても探しても見付からないんだ


スイクン,北風の生まれ代わり
あの伝説のポケモンを追うことによって俺の心は大切な足りない何かが埋まった気がした

そせて隣には最愛の女性、ミズキ

だけど違う。俺が愛しているのはこの《ミズキ》じゃないって魂が叫んでいる気がした

足りないのだ
埋まっていくのは寂しさや謎の悲しみばかり広がった

恋人のミズキを愛するほど,
北風を追いかける度,


虚しさと
切なさが広がった


もういっそ考えなければ楽なんじゃないかって思えるくらい悩んで,
導きだした答えは『忘却』することだった






美しいあの北風が何人もの女性(ミズキ)を殺し続け,赤く染まっても











次の俺は
北風を

ミズキを忘れたらきっと幸せに生きていける






















「ミズキ?誰だそれは?
そんな名前、"俺"は知らない」

















とある青年の忘却の話



ほんとは
ぜんぶしってるけど
すべてをわすれたおとこのはなし





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