裏側の物語
信じ、たくない
信じられない
私が、スイクンが、
皆を壊していたなんて
漠然としている私にセレビィはまだ語る。
『…ねえミズキ、『裏側の物語』を知ってる?ああ、正確にいえば『無限ループの話』かな?まあ、なんでもいいや、知ってる?』
『しら…ない。知りたくない…』
これ以上知って何になるのだ、
今、私の心は絶望に染まっている。
私の心をその無邪気な声でこれ以上堕とさないでよ
『まあまあ、聞いてよ、これも対策なのさ。君の悲劇がこれ以上続かないように、ね』
『え…』
それは、どういう意味だ
『むかーし、昔、ある平行世界にとある青年とその青年が大好きな女性がいましたー』
『…あ、…ああ…。』
聞いちゃダメだ
この話を聞いてはいけない
私の魂がセレビィの声を、話を拒絶している
『青年と女性は付き合っていましたがある事件で女性は死んでしまいましたー』
『やめて…!!もう聞きたくない!!!やめて!!』
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
『しかーし、青年は女性が死んだことが諦めきれず、ホウオウに願ったのです』
『やめて!!!!!!!!!!』
『彼女を甦らせてほしい、どんな姿でもいい、彼女を探し、愛し続ける』
『ホウオウはその願いを叶え、女性は『スイクン』というポケモンとして生まれ変わりました、だが平行世界で『はずみ』が生じ、その『スイクン』は別の平行世界に飛ばされてしまいました
平行世界の青年はもちろん女性を覚えていませんでした、しかし、一つだけ、魂に刻まれて覚えていたことそれは『どんな姿でもいい、彼女を探し、愛し続ける』…その青年は惹かれていたスイクンというポケモンに、』
「ミナキってなんでそんなにスイクンが好きなの?」
「…なんでだろうな、スイクンという存在に惹かれるんだ…とても、な」
『青年はスイクンを探し求めました、しかし当のスイクンは混乱していた『似て非なる世界』に、…『自分ではない自分』といる青年に。平行世界にはもちろん『スイクンになる前の女性』もいました。彼女も同様、青年と付き合っていました
スイクンは段々妬ましくなった
『自分』が、
青年と一緒にいる『自分』が
『自分を覚えていない青年が』
全て、全てが憎悪に染まったスイクンは女性を『平行世界の自分』を殺しました
しかし、その『殺された女性』はスイクンに成りました
また違う平行世界で
スイクンは『自分』を殺し、殺された『自分』はまたスイクンに成る…
要するに無限ループさ、
ああ、分かりやすく言おうか?
スイクンに成ったミズキが平行世界のミズキを殺してその殺されたミズキはスイクンになる、そして平行世界のミズキを殺す
君はそんな可哀想なヒロインの1295人目だよ』
「昔たくさん人を殺した元々人だったポケモンがいる」
そんなポケモンがまた出ないように平行世界で甦る私は、
この憎悪のバトンをまた誰かに回さないといけないの?
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