届かない愛を叫ぶ
エンジュシティ
焼けた塔前
目の前に建った所々炭と化した,存在感があるその塔の前に,一人の少年とそのポケモンはいた。
「スイクンねぇ…よくわかんないけどすごく綺麗な水ポケモンらしいってさベイリーフ。」
「ベイッ!!」
「やっぱお前も気になるか?」
「フィー…」
コクリと頷くベイリーフの頭を撫で目の前のボロボロな塔に視線を戻した。
向かい側にある同じ作りの塔(だったらしい)と比べて…なんと言うか,燃えてしまった分「何か」いそうで入るのに躊躇いが生まれていた。
「マツバさん、だっけ?エンジュのジムリーダーが何でこんな塔にいるんだよ…」
明らかに、何かでそう。
つか絶対でるだろこれ。
ゴーストタイプのジムリーダーだからか?
こんな場所で修行なんて…
一刻前くらいのことを思いだし、ため息をはいた
トレーナー(とは言ってもまだ新米)の僕は先ほど、エンジュジムに挑戦しに相棒のベイリーフと共に向かったのだがジムリーダーのマツバさんがまだ修行から戻って来てないというのだ。
そこでジムトレーナーのイタコのおばさんにマツバさんを呼んできてほしいと頼まれてしまったのだ。
「あーあ…、僕、昔からゴーストタイプは苦手なんだよなぁ…」
「ベーイ…」
お前もか相棒よ。
しかし俺もお前も男なら腹を括らなければ。
「行くか…」
「ベ……」
そして1人の少年とポケモンが焼けた塔に足を踏み入れた。
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