「勘右衛門入るぞ〜」

聞き慣れた声が聞こえ、返事をする前に襖が開けば、そこにはろ組の竹谷八左ヱ門が居た。
八左ヱ門は勘右衛門の傍まで来るとそのままドカリと腰を下ろした。
八左ヱ門がどうしてここに居るのか分からず目を丸くさせる勘右衛門に八左ヱ門はニカッと笑い、自分が何故ここに来たのかを話し出した。
どうやら今まで勘右衛門の看病をして居た兵助は保健室に行く途中に土井先生に捕まり急遽委員会の仕事に行く事になったのだが、部屋で寝込んでいる勘右衛門を一人にするなんて事はしたくないと考え倦ねている最中に偶々そこに八左ヱ門が通りかかり、自分が帰るまで勘右衛門を見ていて欲しいといわれたそうだ。

「そっか…わざわざごめんね?」

「気にすんな!それにこっちだっていつも勘右衛門には世話になってるしな」

とまたニカッと笑い、それから思い出した様に、風邪に効く食いもん持って来たんだけど食えるか?と心配そうに見詰めて来たので、勘右衛門はこくりと頷きながら、のそりと起き上がった。
それを見た八左ヱ門は懐から、これなんだけど‥と取り出した物に勘右衛門は驚きを隠せずに少しばかり引きつった笑みを浮かべた。

「えっ?まさかそれ?」

「おう!これを食べて、後はしっかりと睡眠を取れば明日の朝には風邪なんて吹っ飛んでるって!」

八左ヱ門が勘右衛門に食べる様に催促しているのは、生物委員会もとい八左ヱ門オススメのカブトムシの幼虫の丸焼きだ。

「風邪引いたらタンパク質取れっていうだろ?」

「だからってなんでそれ…」

食わず嫌いは駄目だぞ!と小さな子供を叱る様にいわれた勘右衛門は渋々、八左ヱ門が差し出すカブトムシの幼虫の丸焼きをやけくそ気味にパクリと食べ出した。








(旨いか?)
(微妙…)
(そっか〜?俺は旨いと思うけどなぁ〜)
(八左ヱ門の味覚はちょっと可笑しいと思う…)
(そうか〜?)



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