（黒いスニーカーに裾を引きずる程度に長いGパン、背中に『木菟特盛』の文字が入ったワンサイズ大きめのパーカーのフードを深く被り、さらに鼻から顎にかけての全体をカバーするマスクもつけるという完全防備の姿で夜中の商店街でひとり時代遅れのラジカセを目の前にし肩を落として立ち尽くし。某曲を再度流せば立ったまま聞き耳を立て、眉間に皺を寄せて適当に体を揺らしてからしばらくしてラジカセの電源を切り、やる気なくその場に座り込んで）マジわかんねえわー、これ。

…やべえよ、無意識宇宙旅行しちゃってたみたい、俺…（どうしたものかとラジカセを眺めていれば不意に響いた声に振り返り。真夜中の黒をバックに、商店街の照明を後光よろしく浴びながら腕を組み仁王立ちする自称宇宙人の姿を視界に捉えると、座り込んだ姿勢のまま、マスクからくぐもった呟きを零しつつ立ち上がり。乱れたフードを被り直しマスクを少しずらしてから両手をパーカーの前ポケットに突っ込みつつ相手に届くように大きく叫んで)あだまんたいとのおぜうさんじゃないすかー！こんな夜更けになにしてんのー？

みょんみょん、こんばんにちは、けーちゃん。あたしはコンビニ帰りィ。喉渇いちゃって。（小走りで駆け寄れば白いレジ袋をかしゃ、と鳴らしながら持ち上げ相手に見せつつ、傍らのラジカセに目をやれば頷きつつ思案顔。それから言葉なく傍らに荷物を置けば羽織っていたパーカーも辺りに投げ出して、Ｔシャツ姿になればその場でストレッチを始め、伸脚しつつ視線のみで相手を見上げれば自信ありげな表情浮かべ）…事情は察したよ、オニーサン。正義の味方が助けてアゲル！

ういー、みょんみょん。しかし、おぜうさんひとりじゃ危ねえよ？最近は物騒だからねえ、世の中。（片手をあげて軽く挨拶がわりに手を振り、下げていたマスクを戻せば、相手の持っていたレジ袋とその辺の放り投げられたパーカーを丁寧に拾い上げ自分の荷物やら夜食やらをまとめて置いてある場所に適当に置いて。なにやらやる気で目を輝かせ準備運動しはじめた相手に口元を軽く緩めれば、ラジカセのスイッチを入れてカセットをいちばん初めまで巻き戻してから再生ボタンを押し、某フラゲソングを流して）おー、マジで？じゃあ、お言葉に甘えますよ、せーんせ。今流れてるこいつのね、振り付けをご教授願いたいんですよ。うん。

あはは、だいじょぶだいじょぶ、フシンシャ怖くない。倒せるから！…あ、荷物ありがとー！（ひらひらと手を振りながらそれ程己の身を案じていない様子で緩く笑えば握り拳を作り、空を切りながらそれを軽く振るって見せ。鼓膜を振るわせる音楽に耳を傾ければその耳慣れた音楽に何かを確信したように幾度か頷き自信に満ちた表情で立ち上がれば、前触れもなく曲に合わせキレ良く踊り始め）…全然イケますよ、オニーサン。何度踊らされたことか！我が校の不動のセンターかなちゃんとはあたしの事！

おおー！かなたんマジすげえ！（切れよく踊りだす相手を拍手をしながらじっと見つめ、その動きをひとつも漏らすことなく脳裏に焼き付けようと瞬きせずに網膜に叩き込みつつ手を少し動かして振り付けの感覚を覚えてゆき）俺も頑張ったらかなたんみたいに踊れるかな・・・。

新スレに続く。