注意うちの子倉庫リンク


最後のプロポーズ


「一緒になるか」
直前まで話していたミッションの内容には馴染まない台詞に、シズカは目を瞬いた。
気のせいでなければ、たった今プロポーズをされた、ように思う。
言葉遊びで煙に巻くにはあまりに強い響きで。
おそらくこれが彼からの最後の愛の告白だと確信し、シズカはソーマを見つめ返した。
気持ちははっきりとしている。
シズカは最初から彼に恋をしたままだ。
そして彼もまたシズカを望んでくれている。
それでも応えるのが怖かった。
唇も身体も繋げ、さらに言葉まで繋がってしまったら、もう彼を離せない。
「…ご…ごめ…んな…さ…」
唇が震える。
たった六文字の言葉で息が詰まる。
「そんな顔で言うな」
両手で頬を包まれる。
普段は少し冷たいのにソーマの手は熱を帯びていた。
「お前の言葉は信用できねぇ」
「で…でも」
「黙れ、黙って頷け」
駄目だ、逃げられない。
最後の告白は本気で捕まえるという覚悟の表れなのだと今更悟る。
滲む視界の向こうでソーマは満足げに笑った。


2012.5.26


[ 27/78 ]
[*prev] [next#]
[目次]
[しおりを挟む]
TOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -