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月が綺麗ね


「月が綺麗ね」
シユウを喰らった神機を引き抜きながら、シズカが言う。
見上げればいつもより明るく大きな満月が浮かんでいた。
シオを思い出し、目を細める。
「船をね、直しているの」
「お前が?」
「第一部隊のリーダーって意外と権力あるのよ。お金と命令一つで」
パチンと指を鳴らし、微笑む。
「ね、貴方の願いは全部叶えるわ」
その台詞に苛立ち、視線を満月に戻した。俺がシズカの願いを叶えることも、シズカ自身を望むことも拒否しやがるくせに、俺の願いを叶えることは当然のように言ってのけ、そして現実にしてしまう。
「いらん世話だ」
俺はこいつの独断的な優しさが嫌いだ。


2012.5.5


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