「死んだら、どうなるのかな」

ポツリ、彼女は呟いた。
誰に語りかけるわけでもなく、言葉を紡いだ。

「円堂くんは、幽霊って怖い?」

フワリ、彼女は優しく笑い、俺に問い掛けた。

「んー、どうだろう」

そんな事、生まれてから考えたこともなかった。
ホラー映画などは怖いけど、実際の幽霊を見たことないから何も言えない。

「まあ、驚きはするんじゃないかな」

死んだ人間が突然現れたら、誰もが驚くと思う。
しかし、驚くのと恐怖はまた別だ。

「ゴメン、よくわかんないや」

考えてみても、答えが出てこない。

「そっか。円堂くんらしいや」

フフッと軽く笑って、彼女は遠くを眺めていた。

沈黙が続く。
彼女からしゃべりかけてこないし、俺も何かしゃべっていないから当然だ。
夕陽がキラキラ輝いている。ここだけが、切り取られたようだ。

「名前は、どうなんだ」

ふいに聞いてみた。
彼女は俺の方を少し見てからまた夕陽に視線を戻す。
彼女は、んー、と少し考えてからこういった。

「怖く無いって言ったら嘘になるけど、悪い人間がいれば良い人間がいるのと一緒で、良い幽霊もいると思うんだ。だから、わかってあげたいかな」

偽善だって笑われるかも知れないけど。彼女は、はにかみながらそういった。

「円堂くんは、もしも私が幽霊になっても、仲良く、してくれる?」

泣きそうな顔で、彼女が聞いてくるので

「もちろんだ」

俺は笑顔で答えた。
さっきの問題とは違い、強い意思をもって答えた。

「ありがとう」

その時の彼女の笑顔は、今まで見たよりも一番綺麗で、夕陽に当たる彼女が幻想的に思えた。



次の日、名前が事故で死んだことを知った。


titel:レイラの初恋
これを夢と言っていいのだろうか...


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