気がついたら真っ暗な世界にいた。
どこを見渡しても広がるのは無限の闇で、私は一人立っていた。
何故、自分はここにいるのか。
それは、考えなくてもわかることだった。
私があの子を見捨てた
そして罰があたった
それが真実で全てなのだと、私は悟った。
落ちて行く彼女の手を、取らなかった。
ただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
あの時、手を伸ばしていたら助かったのかもしれない。
『後悔をしているかい』
ふと、声がした。周りを見渡しても誰もいない。
『後悔を、しているかい』
ああ、そうさ。後悔しているよ。
私が助けてあげられたかも知れなかったのに、助けてあげれなかった。
そしてまだ、あの子から貰ったものを返してはいない。
『人生を、やり直したいかい』
ああ、やり直したい。
後悔ばかりの人生はもう嫌だ。
苦しいくて辛い人生はもう嫌だ。
『僕の手を、とるといい』
私は、彼のてを取っていた。
そして意識は闇に包まれていった。
『さぁ、物語を始めよう』
titel:秋桜
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