これはとあるの夏の時のこと
十年の時を経た初恋を巡る物語
*
ここは立海大付属高校男子テニス部。
王者として君臨する彼らに休日など存在しない。そう、全ては無敗のために
彼らは中学最後の夏、全国三連覇を逃し、敗北を味わった。
だからこそ、逃すわけにはいかない。中学で果たせなかった三連覇を得るために
「基礎が終わったものから各自休憩だ」
彼らに指示を出すのは、立海大付属高校三年の幸村精市。
一見、華やかな優男に見えるがこの“王者”立海テニス部を束ねる部長であり、『神の子』と呼ばれる実力を兼ね備え、部員からの信頼も厚い。
彼は中学最後の夏を、あと一歩まで追い詰めたが相手の爆発的な進化により敗北をしたのだ。
その事もあり高校最後の夏はなんとしても優勝を狙うのだろう。
そしてこの物語の主役でもある。
「精市、少しいいか」
彼は柳蓮二。男子テニス部の一員であり、“達人”と呼ばれている。
男子テニス部の参謀の位置に値し、幸村精市のよき理解者でもある。
「どうしたんだ」
「あぁ、今度の連休にある四天宝寺との合同練習の件だ」
「何か問題が?」
「そうではない。確認だ」
四天宝寺
それは全国屈指の強豪であり西日本の最高戦力と言っても過言ではない。
無駄の無い完璧なテニスをする部長の、白石蔵ノ介を初め立海にも負けないくせ者が揃っている。彼については後日語って行こう。彼の運命という役割と共に
「ふむ。やはり間違いはなかったか」
「蓮二に限って間違えることはないだろ」
「それならお前もだろう」
「ふふっ、そりゃあ立海テニス部部長として間違えるわけにはいかないよ」
「それでこそ精市だな」
今、たわいもない事でしゃべる彼は想像もしない。
これから起こる物語は誰も
知らないのだから
titel:秋桜