■ 008

白と黒のモノクロで統一された部屋の、これまた白と黒を使ったシンプルなベッドに青い髪をした少女が体をモゾモゾと動かしながら起き上がる

「ん、まだ、眠い」

少女はベッドの近くに置いてあった目覚まし時計を手に取り現在の時刻を確認する。

「なんだ、まだ1時か」

今日は休日だしもう一度寝よう、そういいながらまたモゾモゾとベッドの中に入って行く。

「李華、いい加減起きろ」

ゲシッと体を蹴られ、李華と呼ばれた少女は不機嫌そうに顔を歪める。

『何よ、“影”』

影、そう言われたのは李華によく似た、いや李華より幼い物の李華と瓜二つの顔をしていた。
緩くウェーブのかかった天然パーマの青い髪も、茶色い瞳も、少し不健康そうな白い肌も、何もかもが李華と類似していた。

『お前がだらけ過ぎているからだろう』
「休日なんだからだらけさせてよ、というかだらけ過ぎてないんですけどぉ」

悪態をつきながらも、ベッドから降りる。
自分の服に手を掛けベッドに投げる。そして、クローゼットから普段から着用している黒の制服を来て、水色に近い青色のリボンを結ぶ。

「やっぱり二度寝したい」
『お前、今昼の一時だぞ..』
「それでも眠いのは眠いんですー」

黒いニーハイを履いて櫛で髪を軽くとかす。そこから部屋を出て洗面所に向かい、冷たい水を顔にかける。
そのあとキッチンに向かい、李華の為に作りおきされた料理が置いてあり、その上に置いてあったメモには母からの帰るのが遅くなることと、ご飯のメッセージが書かれていた。

「ん、ご飯」
『ふむ、やっとか。なんだ、出来立てじゃないのか』
「嫌なら食べんな」
『是非とも食わせてください』

そんな軽い会話が続く。
パクパクと食事を続けていると影と呼ばれた少女が何かを思い出すように言った。

『そういえば、昨夜お前の兄貴に私を見られた』

ポロリ。
李華は手にしていた箸をその場に落とし、驚愕の表情を浮かべていた。


「・・・マジで?」

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