■ 003

「ヤバイヤバイヤバイ!!」

俺の名前は切原赤也。王者立海のテニス部レギュラーであり未来のトップ候補だ。え?今?そりゃあ今だって最強に決まってる!...多分。
まあ。それよりも!俺は今重大なピンチに落ちている。そう。そのピンチと言うのも部活に遅刻しそうと言うことだ。
そこの君。ちょっとぐらいなら遅れても謝れば大丈夫とか思ってないよな?
そんな事、ここ立海では通用しない。容赦無く地獄行きだ。いや、冗談抜きで、これがガチなんですよ。顧問が怖いんじゃなくて、部長が鬼、いや神様よりも怖いっす。
そこらにいる鬼教師とかのようにガミガミは言わない。そう、無言の圧力。何も言わずに仁王立ちしながら微笑み、優しい声で喋りかける。そこらの女子はキャーキャー騒ぎ立てるだろうが俺たちテニス部に取っては槌を振るう閻魔様のようなもの。優しい微笑みの奥は笑っておらず徐々に視界が遮られ、優しい声は音を遮断して暗闇にえと落ちていく。即ち、部長には絶対けんかをうってはいけない!売ったら最後、五感を奪われるぞ!!

怖いのは部長だけじゃない。副部長も怖い。部長のような無言ではなくかなりキツい説教+ビンタ。部長を静とするなら動。まさに気合いの塊の用な人こそ真田副部長。
そしてもう一人、参謀と名高き柳先輩。この三人が揃って立海の三強と呼ばれてる。俺にとっては三凶だけどな。

ちょうど曲がり角に当たるころ。だから気づかなかったのだ。人がいることに

ドンッ

「いたっ!」

たく、誰だよ!!俺の邪魔するやつは!!
そう思いながら顔をあげると、俺は言葉を失った。
だって、それは

「幸村、部長?」

我らが立海の部長だったからだ。

嫌々。嘘だろ、いや、誰か嘘だと言ってくれ。
何度も顔を確認したがやっぱり幸村部長だ。あの青いウェーブの髪に整った顔とか全てが幸村部長そっくり。ただ違うとすれば、髪が普段より長い事とセーラー服をきている・・・・

「セーラー服!?」

嫌々嫌々。幸村部長は男だ。例えどんなに女顔でも、女装が似合っても、男に変わりない。

「何かついてる?」

幸村部長?みたいなのが喋りかけてきた。なんか声も高いし、全体的に本物の女みたいで・・・

「女!!?」

いやいや、落ち着け赤也。冷静になるんだ。今の状況を整理しよう。
まず、俺は曲がり角でばったりと人にぶつかった。次に、その相手が部活の部長にそっくりだった。更には、セーラー服を着て、声も高く女みたいで、その事に焦っているのが俺。
他人か?いや、流石に髪が青色なんて奇抜な色の人いないだろ。
じゃああれは幸村部長?いや、やっぱり声とか違うし、第一女顔でもあの趣味はないだろ。あっ、幸村部長のお母さんとか!・・・さすがにセーラーを着ないだろ。
どうすればいいんだ、俺!!!!

おおっと。いけねえ。少し暴走しかけてたぜ。そうだよ、家族かも知れないんだよ。母親はないとして、父親も無いしあれ?幸村部長に兄弟っていたっけ?いや、きっと俺の知らないだけでいるんだ、うん。いる!
ここは、まず「君、幸村って名字?」と聞いてから返事を待とう。違うならそれでいいし、そうだったら幸村部長の名前出せばきっとわかるだろう。
よし、それでいこう。俺、頭よくね!?天才じゃん!

「君、ゆき・・・っていないし!?」

うそっーだーん!まさかのショックに山吹にいる一年見たいになっちまった。
え、いやいや。さっきまでいたよな?なんでいないんだ・・・

ハッ。まさか、今のは


「ゆ、幽霊・・・」


俺は王者立海テニス部のエース、切原赤也。今日俺はどうやら摩訶不思議な体験をしてしまったらしい。
そう、幽霊にあったのだ。

「うわあああああああっ!!」

いやいや冷静になんてなれねえよ。お化けがいたんだ、いたんだ!

俺は立海までの道を今までにないほど全力で走った。

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