【電車で寝る】
作:カナモノユウキ
わかるだろうか、電車独特の暖かい椅子の心地よさ。これは格別だ、天にも昇る心地好さなのは間違いないだろう。
しかしだ、まさかあの世行きの電車までこの機能があるなんて驚いた。
天にも昇ると言うか、天に登りながら心地好くなっている訳だ。
こうなるとどう自分が死んだのかも、どうでも良くなってくるな。
40年間、通勤や通学で唯一だった癒しの一時をこんなにたっぷりと味わえるなんて。
あぁ。目蓋が重くなってきた、うとうとしながら天に昇る電車を寝過ごしたらどうなるんだろうかと考えていたら更に眠気が増してきた。
アナウンスも遠く感じて、聞き取りにくいな。
【まもなく天国〜天国〜 降り口は右側】
【天国を過ぎますと地獄に停まります】
【尚、終着『無』まで各駅で止まります】
眠くて、眠くて、起き上がれないな……。
【又、AR昇天線は戻り電車は御座いませんので降り逃しの無いようお気をつけ下さい】