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きらめくなみだに恋心

▽ きらめくなみだに恋心


「なまえちゃーん!」

「?あ、及川君おはよー、どうかした?」


季節が春から夏へ姿を変えつつある6月、私が及川君へハンカチを貸してから数か月がたっていた。
あの日の翌日、繊細なレースをあしらった見るからに高そうな新しいハンカチを及川君にもらった(流石にもらえないと返そうとしたが、返されても自分では使えないと受け取ってくれなかった)
すごくかわいくて今では一番のお気に入りである。

もともと部費会議で何度かあったことはあったが、その日を境になぜか及川君はクラスによく来るようになり私に話しかけてくれている。
たぶん貴大君に用事で来ているのだとは思うが、及川君は私と話してそのまま帰っちゃうことが多い。・・もしかしたらドジっこなのかもしれない(一度帰り間際に貴大君と話さなくてもいいのか聞いたことがあるが、どうして?と逆に聞き返されてしまった・・・なんでだろう?)


「おはよう!はい、これ!見つけた時、絶対なまえちゃんに似合うと思ったんだよね−!」

「わぁ、かわいい!いいの?」

「勿論だよ!そのために買ったんだし・・・そうだ!今つけてみてよ!及川さんが髪結んであげる!」


えっ、と口を開いたときにはすでに及川くんは私の髪を高い位置で束ね、もらったばかりの白生地に水色のチェックが入ったシュシュを使ったポニーテールが完成していた。
最後になぜか頭を撫でられ、まるでお兄ちゃんみたいだな、と思いながら目を細める。


「かっ・・・!!!!!」

「か?」

「はよーっと、あれ?なまえ今日はポニーテールなんだな。うん、似合う似合う」

「おはよう、貴大くん。これね、今及川くんが結ってくれたんだよ」




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