誰にも止められないA



「んっ、ふむっ、んん」

「声、出せよ、誰も聞いて無いから」

「やっ、だぁあ、あ、みやのが、聞いてるっ」

「聞いてない聞いてないから、ほら、噛むなよ?」

「ふやぁっ、あむ、はぁっ、ひゃあっ」

浴槽の縁で宮野の上に跨がり大きく足を開いた俺の尻には、宮野の性器がぐちゅぐちゅと音をたてながら出入りしている。
宮野の逞しい腕に両足を持ち上げられ意のままに揺すられる俺は為す術もなくただよがり甲高い声を上げた。

「うむっ、ひゃっあ、あ、やらっ、それっ!」

「すげーコリコリしてる…なんだろこれが前立腺っつーとこかな?椿気持ちいい?」

「あぁっ、あ、あ、あっ、やあぁっ!」

びゅるるるっと何の前触れも無くいきなり勢いよく先端から吹き出た精液に、宮野はケラケラと軽い笑い声を溢した。

「イっちゃったな椿、そんな良かったんだ?中がまだ痙攣してる、俺のぎゅうぎゅうに締め付けてるし」

「ああっあ、もっ、うごか、すなっ、まって、あ、ああっ!」

イったばかりで敏感になった俺の身体を遠慮無しにガツガツと掘る宮野。
俺の中で未だ固く芯をもった宮野の性器は前立腺をピンポイントで抉り奥深くを突き刺す。
果てしない快感からか、誰にも探られた事が無い俺の知らない部分に触れられているからか、それとも単に男同士でチームメイトで同期だからか。
ふつふつと何処からか沸き上がる怖さにぎゅうっと目を瞑り、壊れた人形みたいにただ俺の口は喘ぎ混じりに「やだ、離せ」と連呼した。

「なぁ椿、いいこと教えてやろうか?」

「あ、あ、はっ、あ、いいっ、こと?」

俺の身体を一定のリズムで揺すりながら不意に宮野が「あれ、見てみろよ」と言った先には。

「え…だ、れ?み、みやのっ、はなせ、ああっ!」

脱衣所で誰かが着替えているんだろうか、曇りガラスの向こうで蠢く影が一つ映っていた。

「宮野っ、もう、やだっ、あ、あうっ、あんっ、やっ」

「俺まだイって無ないよ?椿だけ何回も射精して狡いだろ、それに」

「うるさっ、あ、なんっ、だよ、はぁ、あ」

「さっきいいことって言っただろ?」

そう至極楽しそうにして宮野は涙と汗でべしゃべしゃになった俺の頬に舌を這わせ、そして今まで一度も見たことが無い妖艶で極上な笑みを浮かべた。

宮野…?
いつもと違う、どうしたんだよ宮野?
心の中で呟いた声は喉を通ることはなく、より一層激しくなった律動によって喘ぎ声へと変わってしまう。
まるでこれから浴場へと足を踏み入れるあの影を誘うかのように、宮野に啼けと言われんばかりに、俺は熱気と快感で朦朧とする意識の中ただよがり狂った。

「あっ、ひゃっ、も、い、いっちゃ、あ、あ」

「いいよ、一緒にいこう?」

ごりごりと俺の性器の尖端を宮野の堅い指先が捏ねながら、もう片方の指でピンと主張した真っ赤な乳首を磨り潰されて。
首筋にまとわりつく宮野の熱い吐息も、いつの間にか自ら大きく開脚していることも、曇りガラスの向こうの影が扉の前に近付いて来ることも、もう今の俺にはどうでもよかった。

「あっ、そんな、さわったらっ、あ、あ、あ、あっ、ああぁっ!」

「うっ、中、出すぞっ」

びゅくびゅくっと勢い良く放たれた宮野の体液が内臓を逆流するのを絶頂を迎え未だ痙攣する身体で感じて、そして自らも射精による快感に震えながらふと視線を向けた先には。

「あ、世良さん」

「宮野つまみ食い?先輩より先に手出すとか狡りぃ」

「そう言う世良さんは堺さんとやってきたんスよね?」

「だからこっちで待っててやったんじゃん!…ね、椿」

俺も気持ち良くしてよ。

――ふわふわと意識が浮遊していく中囁かれた世良さんの言葉を理解することは無かった。
ただ俺は伸ばされたもう二つの腕を無意識ながらも享受し、小さく「もっと」と溢したのだった。



* * *



「…という事になったらどうするんだ」

「…」

大浴場に行きたくないのはどういうことッスかと訪ねて、早くも30分が経過。
ザキさんの妄想(?)を延々と聞かされた俺は、腕を組んで真剣な表情を浮かべるザキさんを直視出来ずに項垂れていた。

宮野が俺を…?
無い無い無い無い無い!
なんかザキさんの中の宮野気持ち悪いし、俺そんな流されやすく無いし、そもそも皆が使う風呂場でや、やるって…!
それに最後の世良さんは凄く嫌な感じだったな…何か俺い、淫乱みたいだったし…

酷く突拍子もない非現実的なザキさんの考えを思いっきり否定したいけれど、それはそれで怒られそうな気がして口を開くことが出来ない。
何でそんな考えに発展してしまったんだろうとチラリとザキさんを見上げると、「お前は鈍感過ぎなんだ、少しは警戒心を養え!」と言って顔面をペシッと打たれた。
そんなこと言われたって…と内心で困るけれどやはり言えず、何とか紡いだ言葉は「き、気を付けるッス」という何ともありきたりなものだった。

気を付けるって言っても、むしろ俺自身より遥かに。

(ザキさんが一番危険な気がする…けど、俺は)

険しい顔して違うパターンでの妄想話を始めたザキさんを見上げながら、俺はばれないように小さく溜め息を吐いた。

(ザキさんとなら風呂場でも…って、ザキさんはわかってくれないかな…)



end.



ザキバキ前提の若バキ…というか宮バキ?でした^^

宮野を爽やか鬼畜にしたく葛藤した結果、よくわからんキャラになっちゃったけど楽しかった!

タイトルの、誰にも止められないというのは言わずもがなザッキーの妄想のことだよ(^p^)
椿が大切すぎて過保護を通り越してただ気持ち悪くなってしまったww

以上若バキでした
10000打ありがとうございました!

2011.09.20

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