→手作り食後のデザート
「おい、誰か手伝ってくれ」
「ウース俺手伝いまーす!」
「あ、俺も!」
夕食を終え各々が寛ぐリビングに堺から呼び出しがかかり、世良と椿の二人はいそいそとキッチンへ向かう。
「何すか?これ」
「保冷バック…?」
「まぁ見てろ」
キッチンの隅っこに置かれた保冷バックを開けると出てきたのはタオルが巻かれたプラスチックのケースが二つ。
中には白く濁った物体が入っていた。
「えー何だこれ??椿わかるか?」
「わかんないッス」
「俺あれにしか見えないんだけど…」
「あれ?」
「白くて濁っていてドロっとした液体っていえば、せい「馬鹿野郎何言ってんだ、んなわけあるか」
「あはは、そうッスよね」
(…あれって何だろ?)
「これは甘酒だ」
「え!?甘酒!?」
「え、作ったんすか??」
「え、甘酒って作れるもんなの!?俺缶に入ってるやつしか知らねぇけど!」
「それは市販の、温めたら出来るやつ」
「えー!じゃあこれは堺さんの手作りッスか!?」
「おう」
「「えー!?!?」」
「うるせーよお前ら」
「だって!甘酒っすよ!?そうそう作れるもんじゃないッスよね!?況してや男が!」
「男女関係ねぇだろ」
「関係あるッスよ!甘酒作れる27歳の銀行マンとか聞いたこと無いッスよ!なぁ椿!?」
「ウス!」
「27歳も銀行マンも関係ねぇだろ、っつーかお前馬鹿にしてる?そして椿は全力で頷くな」
「あ、すいません!」
「スイマセン!!」
「…米麹があれば家のもんで簡単に出来んだよ」
「へぇー…何かマジで堺さんってすげぇッス」
「ウス」
「甘酒作れる銀行マンとか、かっけーよな椿?」
「ウス!」
「やっぱ馬鹿にしてるだろお前ら」
「「してないッス!」」
発酵させた甘酒を鍋に入れて煮ながら味を調整する堺を挟むようにして、鍋を覗き込む世良と椿。
好奇心いっぱいに目をキラキラさせる二人の姿に堺も自然と頬を緩ませる。
そして。
「…出来たな」
「すげー良いにおい!美味そう!」
「わー…」
「ははっ、椿スゲー笑顔」
「俺甘酒好きッス」
「俺も!あ、でも何でいきなり甘酒なんすか?」
「(今更だな)夏バテに良いって聞いたから」
「へー!そうなんすね!」
「美味いだけじゃないんすね」
「世良みたいなこと言うな椿」
「俺こんな天然じゃないッスよー!」
「天然?」
「あぁ、お前はただの馬鹿だったな、悪りぃ」
「ただの馬鹿って!酷いッス!」
「はいはいうるせーな、とりあえずこれ全員分わけろ」
「ウス」
「で、世良は運んでけ」
「ウィース」
それぞれの湯飲みに甘酒を入れお盆に乗っけてリビングへ。
そこには世良と椿が出ていった時と変わらずのんびり寛ぐ面々。
「みなさーんデザートのお時間ですよー!」
「は?」
「えー何?デザート?」
「お前ら何してんのかと思えば」
「メイドイン堺の甘酒ッスよ!夏バテ予防ッス!」
「「おー!美味そう!」」
end.
季節ネタ^^
堺さんなら甘酒作れそうw
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