→お庭でサッカーもどき
「おー、若人がサッカーをしてるよ堀田君」
「赤崎と椿ッスね」
「いいなー楽しそう」
「こんなあっついのに元気ッスよね…高校生は」
「なー交ぜてもらおうよ」
「…はい?」
「俺も久々にサッカーしたくなった!堀田君は?サッカー部だったんだろ?やろうぜー」
「そうッスけど…こんな真夏日に庭でサッカーは流石にキツいでしょ、アラサー間近は特に」
「まぁなーだからちょこっとだけだ…っつーかお前も俺もまだ二十代!もしかして俺のこと馬鹿にした!?」
「してないッスよ…ふ」
「おまっ、笑ってんじゃん!…まぁいいや、サッカーしようサッカー」
「はいはい」
庭でドリブル練習をしている赤崎と椿に駆け寄る石神と堀田。
石神の半ば強制的な交渉の末、石神・赤崎チーム対堀田・椿チームでミニゲームということになった。
「よーし、負けた方はアイス奢りなー」
「「え!?」」
「ではいざキックオフ!」
「よし椿行け」
「ウス!あ、ザキさん!」
「先輩に楯突くのか椿?って言っても負けねぇけど!」
「赤崎ヘイ!」
(させない…!)
「くそっ、椿どけ!ガミさん!」
「はいよーっと」
「「あっ!」」
「いえーい!うっつーむくなよーふりむくなよー♪」
赤崎からパスをもらった石神は器用にワンタッチでゴールを決めると、楽しそうに歌を口ずさみながら堀田・椿にブイサインを送る。
赤崎に抜かれ悔しそうな表情を浮かべる椿と、思いの外動きが身軽な石神を目の当たりにして何だか燃えてきた堀田。
ゲームはそれぞれのチームが得点を重ねる毎にヒートアップして行き、四人は次第に本気モードへと切り替わる。
「っしゃ!ナイスカット!」
「よーし反撃っと、うわ椿きた」
「行かせないッス!」
「ヘイ!ガミさん!」
「よしきた…ってあれ、ボール、堀田君!?」
「疲れてきたんすか?足元ガラ空きッスよ」
「うるせー26歳なめんなよー!」
「はい椿、行ってこい」
「ウス!」
「何か椿には優しくねー?」
「あいつは特別ですよ」
堀田からスルーパスを受け取った椿は追いかける赤崎を振り切ってゴール。
結果、1点差で堀田・椿チームが勝利を飾り、石神と赤崎は疲れた体を引き摺りコンビニへとアイスの買い出しへ向かう。
「あーくそ、悔しい」
「ゲームじゃんゲーム」
「ガミさんたちはゲームでも、俺には後輩に負けたっつーのが残るんすよ!レギュラーはってんのに、くそっ」
「赤崎君、まーじめー」
「茶化さないでください!大体ガミさんが途中で足つったとか言わなけりゃ…」
「まぁまぁ、お兄ちゃんがアイス買ってやっから、それで許せよー」
「じゃああれで」
「えーちょっと待て、あれハー○ンダッツじゃん」
「俺の不名誉の代償ッスよ」
「(安いんだか高いんだかわかんねー…)しょうがねぇなーじゃあ椿と堀田は」
「はい」
「えー何お前高校生のくせに高級アイス二つも食うの!?」
「違うッスよ、椿の分」
「…へ?」
「椿も俺と同じのじゃ駄目ッスか?」
不満げに眉を寄せて石神を見上げる赤崎の掌には、某高級カップアイスが二つ。
後輩に負けて悔しいだの文句を垂れていた小憎たらしい赤崎が、一瞬だけ何だか可愛く見えてしまった石神は可愛い椿の為ならしょうがないとそれを籠に入れた。
「…予算オーバーだから俺と堀田はガ○ガリ君だな」
しょうがないから帰ったら椿に一口もらおうっと。
end.
末っ子椿が可愛いくてしょうがないお兄ちゃん達w
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