033.MSG会/ベテラン組

※ベテラン組in居酒屋、下品かつキャラ崩壊につき注意






「すんませーん、注文いいすか?」

「えーと、野菜の漬物と焼鳥盛合せと枝豆とほっけと」

「あと生4つ」

「以上で「はぁ!?俺飲まねぇつったろ!「まぁまぁ」

「とりあえずそれでお願い」

はーいと気の抜けたような店員の返事を聞いて改めて前の席に座る堺さんを見ると、その鋭い目は斜め向かいに座るガミさんをあからさまに睨んでいた。
「テメェ…」と小さく呟き大きな溜め息を吐いた堺さんはもう既に半分まで減った水が入ったグラスを煽る。
ガミさんは暢気に軽く笑うと、たまには呑もうよーとにっこり微笑んで丹さんが持っていたメニューを受け取った。

「そういやーさ、丹さんこの前の合コンどうなったの?」

「あー…あれダメ、っつーか思わぬ事実が発覚しまして」

「「事実?」」

早速運ばれた生ジョッキをカチンと軽く合わせ、それぞれがグラスを傾ける。
ガミさんが不意に訊ねた丹さんの合コン話に、不機嫌そうに黙って塩漬けキャベツを口に運んでいた堺さんが思わず顔を上げた。
勿論、ジョッキを煽っていた俺も同じく。

「女の子3人いたんだけどさ、そん中に東京Vの城西さんと付き合ってたって言う子がいて」

「え!?マジで!?」

「本当なんすか?それ」

「どうなんだろうなぁ、でも何か嫌じゃね?知ってる人の元カノって」

「自称恋人だったら相当な女だな」

丹さんの言葉に驚きつつも楽しげなガミさん、堺さんは呆れた様子でビールを少し口に含む。
結局は呑んでるんじゃないスかってつっこみたかったのを何とか堪えて俺が焼き鳥を頬張ると、丹さんがすかさず堺さんにつっこんだ。

「寝ればそんなん気になんねぇんじゃねーの、お前そういうの得意だろ」

すると堺さんは不機嫌そうに丹さんに毒づいた。
あーあ酔ったな堺さん、ビール数口で顔真っ赤って良い年した男がどうなんだと思う。
そう思ってガミさんを見ると同じことを考えていたのか、にやけ顔で「お酒弱いさっくん可愛いー」と明らかに馬鹿にした様子で笑った。
あーあガミさんも相当キテるな、知らない間にビール瓶で頼んでるし。

「もしもサッカー選手ばっか狙っててさー、他のチームとかに俺と寝たとか言いふらされんの考えたら萎えたんだよ、流石に」

「戦歴語るみたいにね」

「そうそう、私こんなに求められちゃう女なのって」

「でも寝ようとしたんだ」

「した、っつーか誘われた、っつーか連れていかれた…?」

「えー食われそうになっちゃったの?丹波ちゃん危なかったねー」

ガミさんの口調が気持ち悪くなってるのはいつもの事だから別に気にしないんだけれど、その手が丹さんの飲みかけのジョッキを握っているのは何故だろう。
あんたさっきまで瓶を抱いていただろう、それは何処へやったんだガミさん。
そして視線を正面に戻すと、堺さんがジョッキを大胆に仰ぎ水でも飲むのかのように一気に喉に流し込んでいた。
うわー…この人一度スイッチが入ると時間に比例して飲む量とテンションがどんどん上昇すんだよな。
「何ら堀田全然呑んでねぇじゃねーか、さっさと頼めにゃまでいいだろ?」って、早速呂律が回らなくなっていることに気付いているのだろうか堺さんは。

「いやーやっぱり怖ぇな、モデルとかグラビアは」

「え!?その子モデル!?グラビアだったの!?」

「テレビにはあんまり出てないらしいけど、確かに見たことある顔だったよ」

「えーマジか!!それだったら一晩だけでもお供願いたいかもなぁ」

「城西さんのお手つきでもかよ」

「うーんそれはちょっと考えるけど、まぁお互いにつまみ食いって事で?」

「…そう言えばお前一度グラビアと騒がれたもんな、あれ結局どうだったんだよ」

「数回飯食ってセックスしただけだよー胸でかくて可愛いかったけどあれたぶんグラビアじゃなかったな、本業はAV女優とか」

ほっけの白身を皿に散らかしながら箸を運ぶガミさんの暢気な台詞に堺さんが反応する。

「にゃんでわかるんだよ」

「喘ぎが演技っぽかったのと、あと」

「あと?」

「前に見た素人輪姦AVの女の子に似てたから?」

あれって素人じゃないよなー輪わされてよがる女の子なんかいないと思うんだけど、どうだと思う堀田君?
不意に投げ掛けられた質問にハッとしてガミさんを見ると、半分寝てるような顔で首を傾げていた。
とりあえず思いついたように「素人を襲ったら犯罪でしょ」と当たり前のことを言うと満足そうに頷いて、堺さんと丹さんに「素人じゃない素人役AV女優でした」と言って再びほっけに箸を伸ばした。

「っつーかお前ら」

「「うん?」」

ゴトンと音を立てて空になったグラスをテーブルに置いた堺さんが不意に口を開いた。
その据わった目が何処か宙の一点を見つめていて激しくつっこみたい衝動に駆られるけれど、話を折ると逆上する酔った堺さんのことを考え、今は黙って耳を傾けることにする。
斜め向かいの丹さんが懸命に笑いを堪えているのが見えて思わず吹き出しそうになったのを、少しだけ残ったビールを煽ることで誤魔化した。

「芸能人だAV女優だ言ってっから面倒なんだろ」

「そりゃ一般人も全然オッケーだけどさ「違う!」

「「え?」」

「…男でいいじゃねぇか」

据わった視線を三人に寄越してニヤリと微笑した堺さんに思わずドキュンッと来たけど、いやいや待てよ冷静になれ俺、この人は今凄まじく危ない発言をした筈だと首を振る。
隣から「し、心臓を撃ち抜かれた…」と頬を赤らめ惚けるガミさんの呟きが聞こえて、改めて自分は冷静でいなくてはと実感する。

「おま、男って、どういう理屈で」

「理屈も何も、いれる穴が一個減るだけで大して変わらねぇだろ」

「変わるだろ!?え、何!?堺ってモーホーだったの!?!?いやいやいやいや勘弁しろよー!?俺男に掘られんのとか無「お前何で受身だよ」

…正直もう何処からつっこめばいいか解らない。
相変わらずぽわぁっと堺さんを見つめたままの乙女ガミさん。
さらっとアブノーマルな爆弾を投下する堺さんと、それに驚くほどやけに突っ掛かる丹さん。
あんたら本当にアラサーなのか?中身は中2のまま体だけ立派に育っちゃったんじゃないのか?と真剣に考えてしまうほど、その三人の光景は異様だった。
そして。
もうこうなれば手の施しようが無いと結論付けた俺は、彼らの奇行を眺めながらのんびりとビールが入ったジョッキを煽るのだった。



end.



MSG会→三十路会を妄想^p^
シロニーはだめーじょに騙されそうっていう勝手なイメージで登場w

たまにはこんな下らないネタもいいじゃん?ってことで^∀^



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