030.君はにゃんこ/ザキバキ
※赤崎遼さんキャラ大崩壊注意「ザキさん」
「ん?」
「にゃっ!」
「……」
やっとクラブの寮を出たことだしペットでも飼ってみようかと最近家にやって来た子猫の話を椿にすると、是非見せてくださいと珍しくも目をキラキラ輝かせて積極的に言ってきたから。
急がば回れ。
善は急げ。
これはサッカーの神様が最近得点に絡む良いプレーをする俺にくれたビッグチャンスなんだと受け取り、早速訪れたオフに椿を新居に招待することになった。
そして、今日、今に至る。
「…ザキさん?」
子猫を抱いて満面の笑顔を振り撒く椿に放心したままの俺を不思議に思った椿が首を傾げた。
にゃって何だよにゃって、可愛いんだよ馬鹿野郎。
それに普段そんなに笑わねぇじゃねーか。
猫か、猫パワーか、猫が好きなのか椿は。
(…飼って良かった)
ほわほわと胸の奥から甘ったるい感情が止めどなく湧いてきて思わず顔が綻びそうになってしまう。
その度にきゅっと口を固く結び顔をしかめ普段のクールな俺を思い出すことで、何とかにやけるのを堪えていた。
「猫好きなのか?」
「ウス!動物好きで、特に猫が好きッス」
「へー、猫派か、お前は犬っぽいのにな」
俺の言葉に、そうスか?と首を傾げぱちくりと瞬きをした椿は、「ザキさんも犬っぽいッスよ、警察犬とかの種類の」と言って腕の中の猫に頬擦りをした。
「猫のどこが好きなんだよ」
「んー…いつもはプイってクールにしてるんスけど、寂しくなると然り気無く甘えてくるとことか、あ」
「?」
「何か猫もザキさんっぽいスね!」
「はぁ?」
おいおいコイツは何を言っちゃってるんだ、爆弾発言だろ今の。
いつもはクールだけどなんだって?
然り気無く甘えてくる?
…それは俺が然り気無く甘えていいって事なのか、おい椿。
「そうだな、猫かもな俺は」
「ザキさん…?」
「今だって椿がそいつばっか構ってるからつまんねーしな」
「う、え、え?」
そいつと呼ばれた子猫はタイミング良くにゃーんと小さな鳴き声を上げて椿の掌に自らの額を擦り寄せた。
まるでこれは自分のだと小さい体で精一杯主張している様で、子猫相手にどうなんだと思いつつもちょっとだけ腹だたしくなる。
そして俺の台詞に一瞬呆気に取られた後じわじわと赤面してきた椿は、やっと俺の言葉を理解したのかそわそわと慌てた様子で途端に挙動不審になった。
「猫、好きなんだろ?じゃあ可愛がれよ」
「あ、あの」
子猫を抱えたまま目を泳がせる椿を背後から抱き込むようにして身体を預け肩口に顎を乗せてみる。
あー、何でこいつこんなに良い匂いすんだろ。
例えるなら天気が良い日に干した布団の様な心地いい感じ。
「ざ、ザキさんっ、か、かおっ、近くないスか…!?」
「あぁ、近いな」
「え、えぇっ!?」
「うっせーな、早く可愛がれよ」
じゃないと悪戯するかもな。
そう椿の耳元でポツリと呟き、赤く染まる柔らかそうな耳朶を舌先でつつくと、面白いくらい大袈裟に反応した椿が首まで真っ赤にして飛び上がった。
その勢いでぽーんと投げ出された子猫は宙を舞いぽすっと俺の腕の中に不時着。
キョトンとしたあどけない表情を浮かべたまま俺の顔をじっと見上げる子猫は、椿に投げ飛ばされた事を理解していないのか、はたまた理解した上でそうしているのか、そのまま俺の腕の中でコロンと横になり小さな欠伸をした。
「す、すいません!!俺、猫、投げちゃっ」
「罰として」
「え、え?罰?」
「キスしろよ、じゃねぇとコイツみたいにつまんなくなって寝ちまうぞ」
「う、そ、それは」
すやすやと寝息を立て始めた子猫の丸まった小さな背中を撫でると、むずかゆそうに身体を捻るけれど起きる気配は無い。
暫く子猫の愛らしい表情を眺めた後、背後から椿の様子を伺いつつ首筋に噛みつくと「ザキさんっ、さっきからそればっか…!」と俯き顔を真っ赤にさせた。
椿だってさっきから恥ずかしがるばっかだろう、ちょっとは甘えろっつうの。それか可愛がれ。
そう思ったけれども言葉には出さなかった。
それはいきなり勢いよく顔を上げた椿が肩越しに振り向き「か、可愛がるんで、目、瞑って下さい…」と蚊の鳴くような小さな声で呟いたからで、その潤んだ瞳と反してキリッと勇ましい表情を浮かべる椿のアンバランスさに思わず顔が緩んでしまったからだ。
「目瞑って10秒以内何もしなかったら犯すからな」
「え!?ザキさん!?」
「ほら」
「え、待って、ザキさん!うわわわ」
強いて言うなら俺は猫でも犬でもねぇ。
椿の前ではいつでも狼なんだよ。
目を瞑ったままそう言ってニヤリと口角を上げると、情けない悲鳴の変わりに椿の柔らかい唇がそっと触れた。
end.
中学生なザキバキぺろぺろ(^p^)
ザキさん気持ち悪いね、うちのザキさんはこれがデフォなんだよ期待しないでね!
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[mokuji]
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