×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
永久に永遠に
この世には知らなくてもいいことが沢山あるらしい。平凡な両親から産まれた私は、世間で言う一般市民で社会の表も裏もあまりよく知らない分類の人間だ。そんな人間だからこそ私は、自分に無い部分を補うように彼に惹かれ、恋をした。いや、それ以上に彼が持つ誠実な優しさに心を奪われたのだ。そう、奪われた。その瞬間から後戻りなんて出来ない事は分かっていた。貴方が見つめるその先に私じゃない何かが映り、ふとたまに綺麗な瞳が濁るのだ。それが何を示すのかお互い何となく気づいていた。だけど私達はお互いに、その事を口にすることはなかった。多分、そのことを口にする時は、私達の関係が終わる時だと分かっていたからだ。


「…プロシュート、起きてる?」
「寝てる」
「起きてるじゃん」


薄暗い部屋の中で、二つの心音がこだまする。その音を耳にするだけで彼が生きてることを実感できて、私は酷く安心してしまう。安堵のため息が口から漏れれば、それを察したプロシュートが私の肩を優しく抱いた。瞳を閉じた彼の表情は、少しあどけなさが残っていてとても可愛く思えてしまう。


「…可愛いとか思うなよ」
「あれ、思ってたのに」
「…呆れてものが言えねぇぜ」
「大丈夫、ちゃんと会話できてるよ」


屁理屈に聞こえる私の口に、優しく口付ける唇。何かを語るわけじゃなくて、何かを正すわけじゃなくて、私達はただお互いにお互いのことを求めていた。いつか訪れる終わりを見つめては、目を伏せ今を感じて心を繋ぎ止めていた。


「なまえよォ」
「なに?」
「永遠って言葉あるだろ?あの言葉、俺はあまり好きじゃあねぇんだ。お前ならその理由分かるだろ?」
「…なんとなく、ね」
「だがよォ、俺はお前には幸せになってほしい。最近そう思うようになってきてな」
「私だって同じこと思うけど」
「…まぁ、要するにあれだ。…幸せになれよ」
「意味分からない。今は十分幸せだけど」
「…そうかよ」


彼の言葉の意味をいまいち理解できていなかった。何故彼はあんなことを私に言ってきたんだろう。

だけどその言葉が意味するものが、少しずつ、時間を重ねて見えてきた。あの日から、私の前にプロシュートが姿を現すことがなくなった。それが何を示すのか、分かっていたからこそ分かりたくなかった。


知らなくても良いことを知っていたら、もっと私は彼の側に、いてあげることができたのだろうか。そう思えば思うほど、虚しい程に心が空になっていく。永遠に満たされることのない私の心が、彼を求めて静かに泣いた。

永遠だなんて、そんな言葉。否定しながらも心のどこかで肯定し続けた。貴方がいなくなったこの世界でも、多分私はきっと、貴方のことを永遠に思い続けているだろう。だから、どうか。悲しまないで、笑っていて。来世はきっと永久に共に愛を誓って愛を唄う、そんな二人でいられるはずだから。

だから、どうか。