×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
叶わない約束
その人は。いつも私が寝ている時に私の部屋を訪れる。夜中に仕事があるからと言って、彼が私の部屋を訪れる時はいつも決まって夜中の事が多かった。

彼の名前を囁いて、沢山愛してほしいのに、私はいつも眠ったままだ。だけどほんのり鼻をかすめる甘い香りに、なんとなく意識だけは彼に向けて答えていた。

今日は何したの?

今日は何を食べたの?

そんなことを聞きたくて、だけど私が聞く前に子守唄を歌うように私に優しく語りかけてくれた。そんな日々に満足してしまい、ついつい彼のいるときも寝てしまっている事が多い。



「…今日は流石に疲れたぜ…ちょっくら休ませてもらうぜ、なまえ」


優しい彼の音色が耳に響く。それと共に肌に触れた温もりは、私の大好きな温もりだった。鼻をかすめる良い香りに更に意識が朦朧としてしまう。

本当はもっと彼を感じていたいのに、どうしても睡魔には勝てないものだ。



「分かってる。俺がこんな時間に来るのが悪いってことだよなァ…安心しろ。次来るときはオメーが起きてる時に来てやっからよォ…」


低い低音が私の耳へと優しく囁やく。
どうしてこうも彼は優しいんだろう。嬉しくて、何故か、私の瞳からは涙が溢れ落ちていた。


「俺のために泣くんじゃあねーぜ。可愛いなまえ」


その涙に、ちゅぅ、とリップ音を立てて優しく口づけるプロシュート。そんな彼からの愛情を受け止める度に胸が熱く苦しんだ。
好きだと言葉を伝えたいのに、意識がボヤけて上手く言葉が話せない。



「…愛してるぜ、なまえ」



私も、愛してるよ、プロシュート。貴方以上に愛してる。本当はこの言葉を伝えてあげたいのに、いつも伝えることができない私を許して。



「今日はオメーの分まで、たっぷり愛してやるからな」



降り注ぐキスの雨が心地よくて、幸せだ。そんなキスに酔いしれていると、徐々に眠りが深くなる。彼の愛に包まれれば、胸が熱く高鳴って思いの丈を口にした。おやすみ、なんて優しい言葉が耳に響けば、安心したかのように私は意識を手放した。




あの日の彼の声は夢なのか、現実なのか、そんなことを度々考える時が増えてきた。あの日、彼が約束してくれた。私が起きているときにまた、会いに来てくれるって。その約束を今でもずっと私はここで待ち続けている。

ねぇ、プロシュート。また愛してるって囁いて。私は貴方の愛がないと寂しくてたまらないの。私が眠っている時でいいから、また会いに来て。貴方のその唇で、私の全てを愛してよ。

ねぇ、プロシュート。もう会えないなんて言わないで。貴方が残した温もりを、今もまだ私の身体は忘れずに覚えているの。

だから、


ねぇ、プロシュート。どこにいっちゃったの?



よしの様request