お世話係
悲劇は突然起きた。他クラスと合同で行っていた戦闘訓練時に、側にいたクソモブが不意に姿を消しやがった。そして俺の足に何かがしがみつく。ギョッとしながら足元を見れば、何処から入ってきたんか知らねぇが、ガキが泣いて喚いていた。
「んで、これが名字って訳か!」
「相澤先生が言ってたけど、半日は元に戻んないらしいぜ!」
「別にいいんじゃねー?保母さんいるしな」
「誰が保母だ殺すぞ醤油顔」
「うえええええん」
「ほら、爆豪の人相の悪さに泣き出しちゃったじゃん。名前ちゃ〜ん、カチュキ先生は怖くないですよ〜」
「てっんめッ!!後で覚えてとけよアホ面ァァ!!」
「うえええええん!」
「また泣かしてんぞー!勝己せんせー!」
「しっかり御守してやれよー!」
「どいつもっ、こいつもっ…!!」
未だに泣き止まねぇクソモブにも、こいつらにもムカつきすぎて舌打ちが漏れる。クソ面倒なことに、一番なついているからと俺が面倒みる羽目になった。第一ガキの御守なんざ柄でもねぇし、こんな事してる暇があんなら寝てる方がまだマシだ。ガキになったクソモブを可愛いだなんて言ってる女子共にも、腹が立って仕方がねぇ。可愛いんならテメェらが面倒みろやクソボケ。
「…カチュキくん、」
「んだよ。つかその呼び方ヤメロ」
「…なんて呼べばいい?」
「あ?…知るかよ。自分で考えろ」
「じゃあ、カチュキくん」
「変わってねぇだろ!殺すぞクソモブ!」
「うえええええん!」
「あーあ。また泣かしてやんの」
「子供相手にクソモブはないだろ、クソモブは」
「ちゃんと名前で呼んでやれよ爆豪」
「ぁあ?なんで俺がんな事しなきゃなんねぇんだよ」
「うえええええん!」
「ほら、泣き止まねぇし、あやしてやれよ」
「爆豪に一番なついてんだし、お前があやせば泣き止むと思うぜ!」
「ッ…!!!」
このガキいつまで泣けば気がすむんだ。つか、なんで俺がこんな目にあっとんだ胸糞わりぃ!だいたい個性にかかったんも、どんくせぇこいつの責任だろが。なんで俺に擦りつけとんだボケ。ぜってー元に戻ったら下僕としてこき使ってやるッ!覚えとけよクソ女ァ!
「チッ…おら、泣き止めや、名前」
「…ん、」
「ジュース買ってやっから、もう泣き止め」
「…はあい。カチュキくん、大好き」
「「「(萌えきゅんッ!!!)」」」
「殺すぞモブ共ッ!!!!」
喜ぶモブ共を燃やしてから、抱っことせがむガキを抱えて教室を出た。ったく、いつまでこんな茶番が続くんだよ。ガキのお守りなんざまっぴらごめんだ。
─ボンッ
そんな音が不意に聞こえたかと思えば、抱きかかえていたガキが一気に重くなった。手に触れる感触が、あまりにも柔らかで生暖けぇから、ギョッとしながら上を見上げる。
「な、ちょ!えええ!?な、何してるの爆豪くん!!」
「…」
「って、えええ!?なんで私抱っこされてるの!?てか訓練は!?終わったの!?敵は!?」
「…」
「てか、爆豪くん!!何処触わってん、ッッいったー!!!!何!?何故急に手を離す!?思いっきり尻餅ついたんだけど!」
「…喋んな黙れ。そして今すぐ死ね、ブッ殺すッッ!!!!」
「何故そうなる!?」
どいつもこいつも、俺の癪に障る奴等ばかりだ。懲りずに俺の後をつけてやがるアホ面共と共に、今日は徹底的にブッ殺すことにするか。そうでもしねぇと俺の気持ちが収まらねぇ。つか全ての元凶はこのクソモブだ。こいつからまず燃やしてやらぁ。
「覚悟しやがれクソモブ!!…ハウザーッ、インパクト!!!」
「ここ校内だけどそれ必殺技ぎゃぁぁぁぁ!!」
─あとがき─────────
思いっきりギャグになりました…。派閥と絡ませていじってやりたかったです。後はお決まりの落ち終わりたかったっ!ハウザーインパクトって言ってる爆豪くんが好きな私です。笑
素敵なリクエストありがとうございました。