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話が長いよ、飯田くん



「あ!名字さん!」


私が教室へ戻ると休み時間だったためクラスの皆がバラけていた。そんな中私の姿をいち早く見つけてくれたのは出久くんで、こちらに向かって駆け寄ってきてくれた。


「大丈夫だった!?」
「心配してくれてありがとう!でも全然大した事じゃなかったよ!オールマイトから励ましの言葉をかけてもらった感じかな?」
「オールマイトに!?」
「おー!早速オールマイトに会ってきたのか!?どんなだった!?オールマイト!!」
「えーと、貴方は確か…切島くん!」
「おう!切島鋭児郎だ!」
「私にもその話聞かせて!名前ちゃん!」


出久くんの声につられて、クラスの皆が続々と私の元へと集まってきた。そういえば先程、オールマイトから普段の姿の事は皆には秘密にしておくようにと頼まれていた事を思い出す。私の個性の事を話すのも重い話になると少し戸惑っていたら、意外な人物に救われた。


「邪魔だ、どけモブ共」
「か、かっちゃん…」
「またもやモブ扱い…」
「爆豪ー!そりゃねぇだろ!クラスメイトだぞ!俺ら!」
「んなことしるか。出入り口で騒ぐなクソタレ目」
「ええ!?私名指し!?」
「ま、退学じゃなくてよかったじゃねーか。モブはモブらしくせいぜい俺の踏み台にでもなってろ」


そんな台詞を吐き捨てて、自分の席へと戻って行く爆豪くん。彼のそんな台詞を聞けば、その場にいた皆が一瞬にして冷え固まっていく。凄まじい個性(キャラ)だな、爆豪くん。


「デ、デクくん…確か爆豪くんってデクくんの幼なじみなんだよね?昔からあんななの?」
「か、かっちゃんはあれがニュートラルだから…」
「爆豪男らしくねぇぞ」
「…よっぽど切島くんの方が男らしいよ」
「お!褒めてくれんだな!ありがと!」
「うん、清々しいほど好青年!」


そんな会話をしていたらチャイムが鳴るからと、飯田くんに席へ着くようにと促された。

席に着くと同時にチャイムが鳴り響き、プレゼントマイク先生が入ってきた。これから始まる教科は英語らしい。異国の言葉ほど理解できないものはないと少しばかり憂鬱になった。





「やーっと終わったね!授業!」


4時限目の終わりを告げるチャイムが校内で鳴り響く中、後ろの席の出久くんに話しかけた。


「お疲れ様、名字さん!そういえば、一限目の授業ノート貸してあげようか?」
「おおお!そうしてもらうと助かるよ!出久くん!ありがとう!」


嬉しそうに笑っている出久くんは、とても優しくて紳士的で、そんな彼の優しさに心打たれれた。彼の輝く笑顔を見れば、私もつられて笑顔になる。


「ねーねー二人とも!お昼一緒に食べにいかない!?」
「僕もご一緒させてもらうよ」
「飯田くん!お茶子ちゃん!」
「喜んで!!僕でよければ…その…皆とお昼が食べたいな」
「出久くんはとても健気でもあるのか…っ!」
「どうしたの?名前ちゃん」
「出久くんの性格に惚れ直したよ!切島くんに負けないくらいの好青年で、素晴らしい」
「ほ、ほほほほほほ、ほほほほほほほれれれれ!?!?」
「ど、どうしたのかね!?緑谷くん!!顔が真っ赤ではないか!!」
「ほ、ほほほ、ほほ…」
「…デクくん大丈夫?」
「う、麗日さん…う、うん。大丈夫…」
「そういえば、お昼からはヒーロー基礎学もあるよね!沢山食べて体力つけなきゃ!」
「いきなり話が飛ぶのか…」
「それもそうだが、早く行かないと食堂が混むのではないだろうか?」
「確かに…っよし!飯田くんの個性でしゅばばばーんと席とってきてよ」
「ナイスアイデア!名前ちゃん!」
「ちょっと待ちたまえ君たち!個性というものとはまず…」


それから約二十分ほど、飯田くんの個性に関する大切なお話を聞かされ続け、何してんだの上鳴くんの一言でようやく解放された私達は、急いで食堂へと走って行った。

話が長いよ、飯田くん!