体育祭前日の夜(3/3)
「爆豪くん…」
「あ"あ"！？ドア開けたらまじで殺すぞ変態女ァ！」
「覗く趣味ないからぁ！とりあえずTシャツの替え此処に置いてます！ズボンはある程度ドライヤーで乾かしたけど…パ、パンツの替えはコンビニで購入してきたから！一緒にこちらへ置いてます！」
「ぁあ"！？つか何勝手に人の衣類に触れとんだ殺す！！だいたいテメェが購入してきたもんとか着れ」
止めどなく次から次へと浴室の方から罵声が聞こえてきたので、耳をふさぎながら途中まで聞き終えて、脱衣場から立ち去った。
「ふざけてんじゃねぇぞ！！何処行きやがったクソカス死ねェェェ！！！」
私の姿が居なくなったのを悟ってか、ここまで聞こえてくるほどに、大声で叫んでいる爆豪くん。とりあえず聞こえないふりをしようと思い、流しに残っていた食器達を洗う事にした。
数分後。風呂場が大人しくなったかと思えば、風呂を終えてリビングへ姿を現した。恐ろしくて背後を振り向けない私は、出来るだけ明るい声で彼に話しかけた。
「ば、爆豪くん…き、気持ち良かった？」
「…ッケ！あんな狭い風呂で優雅に入浴なんざできるかよ。つかなんだあの入浴剤。湯煙温泉シリーズ買っとけやボケ」
「湯煙温泉シリーズの入浴剤って結構高いよね！？爆豪くん家はいつもそれなの？」
「それ以外肌に合わねぇ」
「さ、流石爆豪様…って、良かった。ピッタリだね、エビフライTシャツ」
「んだよこのセンスねぇTシャツは。つかなんでテメェが男もんの服持っとんだ」
「あ、いや、それがね…前にそのTシャツ気に入って購入したんだけど、メンズサイズしかなかって…。後にレディースものが発売されてたから即購入したんだけど…あ、良かったらそれあげるよ！てかレディースサイズのもあるから、ペアルックもできるよ爆豪くん」
「いるかボケェェェ！つかテメェとなんざペアルックする訳ねぇだろがァ！いっぺん死んでその馬鹿な脳みそ取り替えてこいやクソがァ！」
「勢いが凄い…まぁ、申し訳ないけど今日はそれ着て帰ってくださいね」
「まじでテメェいつか絶対殺してやるからなァ！」
相変わらずご機嫌斜めな爆豪くんに、パンツを購入する際に買ってきていたアイスを差し出した。無表情のままそれを受けとると、舌打ちをしながらソファへと歩んで行った。
そんな彼の姿を見届けて、安堵のため息を漏らす。とりあえず落ち着いたな。
食器を洗い終えてゴトゴトと片付けをしていたら、不意に背後から名前を呼ばれた。名前というか酷いあだ名だけど。
「どうしたの、爆豪くん」
「どうしたじゃねぇわ！帰るわクソボケ！」
「あ、もう帰っちゃうの！？もう少しゆっくりしていってもいいのに」
「ゆっくりできるか。 同じ空間にいると馬鹿が移る」
「な！ば、馬鹿じゃないし！」
「明日の体育祭覚えとけよ。完膚なきまでに殺してやるからよォ」
「殺？ん？なんかおぞましい言葉が聞こえたような…」
「ぁあ？」
「い、いえ、何も…」
軽く右手を爆破させながら、私の部屋を出ていく爆豪くん。なんだか色々と迷惑をかけてしまい申し訳なかったと思ってしまう。ありがとうの意味も込めて、明日は頑張ろうねとエールを送ると、中指を立てて激しく睨まれた。
怯む私に気分を良くしたのか、鼻を鳴らして、自宅へ向けて帰って行った。
「ebifurai」とローマ字で書かれたシンプルなデザインのTシャツだが、案外爆豪くんに似合っていたから良かった。あんなTシャツでも爆豪くんが着れば、お洒落に見えてしまうのは目の錯覚だろうか。
部屋へ戻りお湯が冷めないうちにと、私もお風呂へ入った。身体を洗い終えて湯船に浸かる。一日の疲れがほぐれていくようだ。
あぁ、気持ちいい。口から思わず声が漏れる。身体がポカポカと温まってくると同時に、先程まで爆豪くんが入っていた事を思い出す。同じ、お湯に、私は…。考えだしたら、恥ずかしさに殺されそうになった。直ぐ様風呂から飛び出して、脱衣場に置いてあったバスタオルに身を包んだ。
「…変態みたいじゃないか、やめてくれ…」
バクバクとうるさい鼓動を耳障りに思いながらも、慌てて衣服を身につけた。
濡れたタオルと衣服を洗濯機へと詰め込んで、洗剤と柔軟剤を入れてからスタートボタンを押した。ゴンゴンと回る洗濯物を見つめては、私の衣服と共に洗濯しているが、殺されないだろうかと一抹の不安を感じてしまう。なるようになれと自分に強く言い聞かせてから、脱衣場を後にした。冷凍庫へ入れておいたアイスを取り出して、ソファに座って頬張った。抹茶アイス、最高だ。
いよいよ明日は体育祭。お腹も満たされ、エールとも言えるようなお料理もいただけた。
明日の体育祭は絶対優勝してやる。そんな決意を胸に刻んで、拳をかたく握りしめた。
「あ"あ"！？ドア開けたらまじで殺すぞ変態女ァ！」
「覗く趣味ないからぁ！とりあえずTシャツの替え此処に置いてます！ズボンはある程度ドライヤーで乾かしたけど…パ、パンツの替えはコンビニで購入してきたから！一緒にこちらへ置いてます！」
「ぁあ"！？つか何勝手に人の衣類に触れとんだ殺す！！だいたいテメェが購入してきたもんとか着れ」
止めどなく次から次へと浴室の方から罵声が聞こえてきたので、耳をふさぎながら途中まで聞き終えて、脱衣場から立ち去った。
「ふざけてんじゃねぇぞ！！何処行きやがったクソカス死ねェェェ！！！」
私の姿が居なくなったのを悟ってか、ここまで聞こえてくるほどに、大声で叫んでいる爆豪くん。とりあえず聞こえないふりをしようと思い、流しに残っていた食器達を洗う事にした。
数分後。風呂場が大人しくなったかと思えば、風呂を終えてリビングへ姿を現した。恐ろしくて背後を振り向けない私は、出来るだけ明るい声で彼に話しかけた。
「ば、爆豪くん…き、気持ち良かった？」
「…ッケ！あんな狭い風呂で優雅に入浴なんざできるかよ。つかなんだあの入浴剤。湯煙温泉シリーズ買っとけやボケ」
「湯煙温泉シリーズの入浴剤って結構高いよね！？爆豪くん家はいつもそれなの？」
「それ以外肌に合わねぇ」
「さ、流石爆豪様…って、良かった。ピッタリだね、エビフライTシャツ」
「んだよこのセンスねぇTシャツは。つかなんでテメェが男もんの服持っとんだ」
「あ、いや、それがね…前にそのTシャツ気に入って購入したんだけど、メンズサイズしかなかって…。後にレディースものが発売されてたから即購入したんだけど…あ、良かったらそれあげるよ！てかレディースサイズのもあるから、ペアルックもできるよ爆豪くん」
「いるかボケェェェ！つかテメェとなんざペアルックする訳ねぇだろがァ！いっぺん死んでその馬鹿な脳みそ取り替えてこいやクソがァ！」
「勢いが凄い…まぁ、申し訳ないけど今日はそれ着て帰ってくださいね」
「まじでテメェいつか絶対殺してやるからなァ！」
相変わらずご機嫌斜めな爆豪くんに、パンツを購入する際に買ってきていたアイスを差し出した。無表情のままそれを受けとると、舌打ちをしながらソファへと歩んで行った。
そんな彼の姿を見届けて、安堵のため息を漏らす。とりあえず落ち着いたな。
食器を洗い終えてゴトゴトと片付けをしていたら、不意に背後から名前を呼ばれた。名前というか酷いあだ名だけど。
「どうしたの、爆豪くん」
「どうしたじゃねぇわ！帰るわクソボケ！」
「あ、もう帰っちゃうの！？もう少しゆっくりしていってもいいのに」
「ゆっくりできるか。 同じ空間にいると馬鹿が移る」
「な！ば、馬鹿じゃないし！」
「明日の体育祭覚えとけよ。完膚なきまでに殺してやるからよォ」
「殺？ん？なんかおぞましい言葉が聞こえたような…」
「ぁあ？」
「い、いえ、何も…」
軽く右手を爆破させながら、私の部屋を出ていく爆豪くん。なんだか色々と迷惑をかけてしまい申し訳なかったと思ってしまう。ありがとうの意味も込めて、明日は頑張ろうねとエールを送ると、中指を立てて激しく睨まれた。
怯む私に気分を良くしたのか、鼻を鳴らして、自宅へ向けて帰って行った。
「ebifurai」とローマ字で書かれたシンプルなデザインのTシャツだが、案外爆豪くんに似合っていたから良かった。あんなTシャツでも爆豪くんが着れば、お洒落に見えてしまうのは目の錯覚だろうか。
部屋へ戻りお湯が冷めないうちにと、私もお風呂へ入った。身体を洗い終えて湯船に浸かる。一日の疲れがほぐれていくようだ。
あぁ、気持ちいい。口から思わず声が漏れる。身体がポカポカと温まってくると同時に、先程まで爆豪くんが入っていた事を思い出す。同じ、お湯に、私は…。考えだしたら、恥ずかしさに殺されそうになった。直ぐ様風呂から飛び出して、脱衣場に置いてあったバスタオルに身を包んだ。
「…変態みたいじゃないか、やめてくれ…」
バクバクとうるさい鼓動を耳障りに思いながらも、慌てて衣服を身につけた。
濡れたタオルと衣服を洗濯機へと詰め込んで、洗剤と柔軟剤を入れてからスタートボタンを押した。ゴンゴンと回る洗濯物を見つめては、私の衣服と共に洗濯しているが、殺されないだろうかと一抹の不安を感じてしまう。なるようになれと自分に強く言い聞かせてから、脱衣場を後にした。冷凍庫へ入れておいたアイスを取り出して、ソファに座って頬張った。抹茶アイス、最高だ。
いよいよ明日は体育祭。お腹も満たされ、エールとも言えるようなお料理もいただけた。
明日の体育祭は絶対優勝してやる。そんな決意を胸に刻んで、拳をかたく握りしめた。