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他クラスからの宣戦布告



何故か爆豪くんと共に登校する事となり、二人して口喧嘩をしながら教室へと入れば上鳴くんが飛んできた。

「できてんのか!?お前ら!?」

そんな言葉を叫んだと思えば、瞬時に爆豪くんが爆破していた。真っ黒になった上鳴くんを可哀想に思いながらも、「できてない」と丁寧に否定した。あんな爆殺王みたいな彼と付き合うだなんて、天と地がひっくり返ってもあり得ない話である。

ご機嫌斜めで自分の席へと腰かける爆豪くんを見届けて、教室の後方へと目を向けた。一瞬目を向けただけなのに、交わってしまったオッドアイ。先程彼から言われた言葉を思い出しては、顔を少し赤らめてしまう。

反則だよ、轟くん。天然なのか、轟くん。普通に照れるよ、轟くん。これじゃあまるで、意識しちゃってるみたいじゃないか、轟くん。

心の中で必死に訴えながらも、足早に自分の席へと向かった。



「おはよう」

教室のドアが開けられて、聞きなれた声に振り向いた。

「「「相澤先生!?!?」」」

そしてクラス皆の声が一つになる。ついでに言うと、私は驚きすぎて目が飛び出てしまいそうな勢いだ。

相澤先生…と言うよりもミイラ男だ。全身包帯を巻き付けて、微かに見える先生の瞳。死んでるのか、生きてるのか、そんな事を問いたくなるような眼差しである。

「無事だったのですか!?」

委員長飯田くんの素早い一声。無事だったとは言いづらいが、死んでいない限り先生は生きてくれている。そう思うだけで、心が酷く安心した。

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

「戦い?」

いやいや、戦いって言葉に食いつかないでよ爆豪くん。

「まだ敵が!?」

「雄英体育祭が迫ってる!」

「「「クソ学校っぽいの来たぁぁぁぁぁ!!!」」」

体育祭だと!?忘れていた、先日の事件もあり完全に忘れていた!!雄英高校最大の見せ場となる体育祭!なんとしても一位に上り詰めて、ヒーローになるための第一歩を踏み出さなければ!
期待で胸が高まる中で、不意に目の前のツンツン頭が目に入った。
そうか、一位になると言えば、爆豪くんを倒さないといけないんだ。
改めてそんな事を考えていたら、交わるはずのない視線が交わってしまう。彼には私が考えていた事がお見通しのようで、口元をつり上げてニンマリと笑っていた。

「潰してやらぁ。覚悟しとけやクソタレ目」

嬉しそうにそんな言葉を吐き捨てないでほしい。底知れない彼の殺意に怯えながらも、後ろの席へと助けを求めれば、出久くんが「大丈夫!」と背中を押してくれた。なんて優しい人なんだろう。幸せだ。




その日の放課後。
帰ろうかと荷物をまとめていたら、何やら廊下が騒がしい。なんだなんだと廊下側を覗いてみると、見たことのない程の人だかりができていた。

「「何ごとだぁぁ!?」」

そんな台詞が、思わずお茶子ちゃんと被ってしまう。なんだこの人だかりは!?思うことは皆同じで、お茶子ちゃんと共に動揺していた。
そして動揺していて気がつかなかったが、どうやら廊下にいる生徒達に対して物申している人物が一人いた。

「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。戦いの前に見ときてぇんだろ。意味ねェからどけ、モブ共」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」

「飯田くんのコメントに一票ぅぅ!!」

爆豪くんの言葉にすかさずツッコむ飯田くんと私。彼の恐れ知らずの性格に、更に恐れが増していく。

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ぁあ?」

「違いますよー!チャーミングな人も沢山いますから!彼だけ特別です!」

「黙れカス!つかでしゃばんな死ね!」

「ぶはぁぁっ!!」

「おー、こわ。クラスメイト相手に容赦ないんだな。呆れるぜ」

「ぁあ?」

爆豪くんの個性を受けて、可憐に吹き飛ぶ私をキャッチしてくれたのは切島くんだった。流石ジェントルマン切島くん、頼りになる。

「大丈夫か?名字…つか爆豪も相変わらずだな、本当に…」

「だ、大丈夫…ありがとう、切島くん」

「爆豪あんなだけど、言ってる事、間違ってねぇよな」

「…確かにね」

未だにどこかの誰かさんと言い合いをしている爆豪くんに目を向ける。

「上に上がりゃ、関係ねえ」

本当に、彼は凄い。自分の中でちゃんとした目標があって、それを目指して突き進んでいる。迷うことなく全力で。だからこそあんな言葉を言いきれるし、知らない人の前でも堂々としていられる。
そんな部分はとても尊敬していて、見習いたい部分でもある。自信があるからこそ、他人に対してあんなにも胸をはれるのだろう。

「おいクソ女。ちんたらしてんじゃねぇぞ早くこいや」

「え…?」

尊敬していたのもつかの間。廊下側の人達と険悪な雰囲気になる中で、私にかけられた言葉に疑問を持つ。早くこいやって一緒に帰ろうと誘ってくれているんだろうか。

「ちょ!ま!やっぱりお前らできてん…ぎゃぁぁぁ!!!」

上鳴くんの言葉を最後まで聞かずに、朝と同様彼を黒焦げにする爆豪くん。他のクラスの人達が見ているにも関わらず、流石図太い神経の持ち主である。

「さっさとこいや、下僕野郎」

右手をパチパチと鳴らしながら、教室を出ていく爆豪くん。何故放課後までも彼に付き合わないといけないのか謎ではあるが、上鳴くんのようにはなりたくなかったので、仕方なく彼の後を追った。
教室を出る際に「頑張って!」とお茶子ちゃんに熱く背中を押されてしまったが、彼女は何を期待しているんだろう。やめてほしい。

「あんな奴の下僕なの?可哀想に」

少し隈のある、先程爆豪くんと言い合っていた男の子に声をかけられた。不意討ちだったため応答に困ってしまい、とりあえず「大丈夫!」と言葉を告げた。大丈夫って受け答えになってたかな?そんな事を考えながらも、人混みをかき分けて必死に彼の背中を追いかけた。