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お茶子ちゃんの一言




『な、なんやて!?爆豪くんと切島くんが!?爆豪くんと切島くんが!?えええ!?』
「ちょ、落ち着いてよお茶子ちゃん」


時刻は21時。心配していたとお茶子ちゃんから電話がかかってきた。その際に先程まで切島くんと爆豪くんがいたことを話せば、冒頭の会話のように叫び倒されてしまう。


『てかどーゆうこと!?なんで二人が!?切島くんは何となく分かるんやけどなんで爆豪くんまで!?私のとこなんて誰一人っ!!!ううっ!』
「ちょ、泣かないでよお茶子ちゃん!あ、そうだ!今度お泊まり会しようよ!女子会!女子会!」
『うん…それはそれで、楽しそうやけど…』
「まぁ、そういう事だから私の所は大丈夫だよ。さっきまで爆豪くんもいてくれたし」
『…ん?爆豪くんが、いてくれた?』
「…ん?そうだけど」
『切島くんは?』
「電車に間に合わないからって先に帰ったよ?」
『ふむふむ、成る程ね…』
「え、何がどうしたの一体…」
『今爆豪くんおらんのよね?』
「う、うん…さっき帰ったから」
『あのさ…名前ちゃん…私思うんやけど、爆豪くんって名前ちゃんの事、好きなんやないかな?』
「………は?」


お茶子ちゃんの突拍子もない発言に身体が硬直してしまう。爆豪くんが、私の事を?そんな事を考えるだけで殺気を感じてしまうレベルだ。全身に冷や汗が吹き出る。…どこから殺気出してるの、爆豪くん。


「え、ちょっと待ってよお茶子ちゃん!何故そうなる!?爆豪くんが私を!?爆豪くんが私を!?爆豪くんが私をををを!?」
『ちょ、落ち着いてよ名前ちゃん…深呼吸、深呼吸…』
「う、うん。すーーー、はーーー、すーーー、はーーー、すーーーって爆豪くんが私を!?」
『深呼吸の意味のなさっ!!!ごめんごめん、半分冗談で言ったつもりやったから、そんなに真に受けんでも大丈夫!』
「そ、そうだよね!?だってあの爆豪くんがだよ?人を好きになる?うううん、どっちかというと人を絞め殺すというか、殺されるというか、そんな事考えてたら殺されそうで…」
『…なんか私の所まで爆豪くんの殺気が』
「だよね!?私もさっきから殺気が凄くて冷や汗が止まらないよ!!」
『よ、よし!この話は一旦止めといて…明日のお昼の事なんやけど─』


それからお茶子ちゃんと他愛のない話をして20分ほどで通話を終了させた。
他愛のない話をしている最中でも、先程お茶子ちゃんに言われた言葉が妙に頭から離れなくて、なんだかとても気持ちが悪い。

お風呂に入っても、スキンケアをしていても、歯磨きをしていても、寝る前に録画しておいたバラエティーを見ていても、お茶子ちゃんの言葉が頭から離れない。


『爆豪くんって名前ちゃんの事、好きなんやないかな?』


そんなはず、あるわけない。だって相手はあの爆豪くんだよ?いつも私の事を殺すじゃなんじゃと暴言吐きまくってくるあの爆豪少年だよ?いつも何かと突っかかってきて、何かと気にかけてくれて、何かと心配してくれて…

寝れない。全然眠れない。何故だろう。爆豪くんの事を意識して考えてると自律神経が興奮してしまい更に眠れない。こんなの間違ってる。だってどうみてもこんなの私が爆豪くんを意識し…


「駄目駄目駄目!今のなし!今のなーし!寝る!私は寝るんだよ!寝るから邪魔しないでよ!爆豪くん!」


部屋の中で爆豪くんに向けて叫んでから、とりあえず瞳を閉じた。寝る、寝る、寝る。私は寝るの、寝るんだよ。なのにどうしてこんなにも心臓がうるさいの。どうしてこんなにも胸が苦しいの。そんなはずはない。そんな、はずは…


「だからー!違うんだよ!違うから!断じて違うーー!!」


あぁ。眠れなくて泣きそうだ。








─ピーンポーン

玄関先から聞こえてきたチャイムの音に目を覚ました。どうやら昨日はいつの間にか眠っていたようだ。眠たい目をこすりながらも時計を見ると7時30分を過ぎていた。飛び起きてからそのまま玄関へと走って行く。


「はい!どちらさまで……」
「…なんで電話に出ねぇんだよっっ!ブッッ殺すぞクソモブゥゥ!!!」
「な、何故に朝一から爆豪少年が此処に!?てかなんで朝から怒ってるの!?カルシウム不足!?チーズがオススメ!!」
「…………殺すッ!!!」
「え、ちょ、待ってよ!!とりあえずなんで怒っているのか説明をををっ!!!」


いつものように怒り狂う爆豪くんの両腕をなんとか宥めてから、怒りの原因を問いただすと、どうやら私の家へスマホを忘れていたらしい。慌てて爆豪くんのスマホを探せば、ソファの上に無造作に置かれていた。スマホに触れると不在着信の文字が目についたので、あの後何度も電話をかけてきていたようだ。


「ごめん!あったよスマホ!」
「つかなんで昨日電話に出ねえんだクソがァァ!!」
「き、気がつかなくて…」
「ぁあ"?気がつかねぇだと?音量マックスにしとるわボケ!気がつかねぇ訳ねぇだろが!!」
「そ、それが全然…気づかなくて…」
「耳鼻科行けやクソカス死ね!!」


大迫力の暴言と共に玄関のドアをがしゃゃゃんん!と荒々しく閉めて行った爆豪くん。いつにも増して大迫力の暴言の数々に呆気にとられた私は、その場に立ちすくんで動けなくなっていた。

昨日まで何を悩んでいたんだろう。爆豪くんが?私を?いやいや、どんな事が起きたとしてもそんな事はあり得ないだろう。