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ジェントルマン切島くん



爆豪くんに引きずられながら教室へ入ると、真っ先に私の事を心配して切島くんが駆けつけてくれた。


「どうした爆豪!?つかなんで名字引きずられてんだ!?大丈夫か!?」
「き、切島くん…やっぱり君は最高のヒーローだよ」


ジェントルマン切島くんのおかげでなんとか爆豪くんから距離を置くことができた。私から手を離して自分の席へと向かう爆豪くんは、とても不機嫌な表情をしていた。


「爆豪すげー機嫌悪いな…ひょっとして校門前のマスコミのせいか?俺ん時もまじしつこかったからなぁ〜」
「爆豪くんが機嫌よくいるところあまり見たことないよね…」
「それもそうだな。つか、昨日はちゃんと帰れたか?」
「あ!うん!切島くんのお陰で無事に家まで帰れたよ!ありがとう」
「俺は見たぞ。見ちまったからな…」
「なんだよ峰田…」
「切島ぁ、お前昨日名字と一緒に帰ってただろうが!何一人先走って青春エンジョイしてんだよ!?抜け駆けなんて許しちゃいねぇぞ!!」
「聞き捨てならねぇな!その会話!」
「な、なんだよお前ら!そんなんじゃねぇって!」
「じゃあどんなんだよ!?女子と二人っきりで下校するとかそれ以外あり得ねぇだろ!?見せつけたいのか!?コンチクショー!!」
「つかつか、それなら俺とも今度一緒に帰ろうぜ!名字!」
「あ!ずりーぞ上鳴!!」
「あ、あの…お二人さ」


─ガラッ

私の言葉を遮るように教室のドアが開けば、席につけと威圧的な目で相澤先生に睨まれた。


「えー、昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらったぞ…」


相澤先生の言葉にクラスがざわつき始める。そして昨日の戦闘訓練で一躍注目を集めていた爆豪くんと緑谷くんに、相澤先生が軽く声をかけていた。一瞬私と目が合った気がしたが、すぐに目を逸らされた。


「本題にはいる…急ぎで悪いが今日は君らに学級委員長を決めてもらう」
「「「学校っぽいのきたーーー!!!!」」」


まさかこれから小テストでも!?と内心ひやひやとしていたが、学校っぽい行事だったため安堵のため息が漏れた。

学級委員長と聞けばヒーローを目指す皆にとってはうってつけの役割なので、ハイハイ!と勢いよく手を挙げるクラスの皆さん。私も皆に便乗して手を挙げてみようかと思ったが、私に委員長が勤まるかどうか正直自信がなかったので、中々手を挙げられずにいた。


「…って爆豪くんも手を挙げてる…君は委員長とかいうキャラではないだろうに」
「殺すぞクソタレ目ぇぇ!!」
「あれぇ!?心の声がいつの間に!?」


ガヤガヤとクラス中がざわつく中で、彼らの声を沈めたのは委員長のような見た目の飯田くんだった。ペラペラと難しい言葉を吐き捨てながらも、選挙方式で決めないかと彼から提案される。


「そんなん皆自分に入れらぁ!」
「日も浅いのに、信頼もクソもないわ飯田ちゃん」


梅雨ちゃんの意見に軽く頷いてしまった。確かにまだクラスの皆と知り合って日も浅いため、皆がどんな人柄なのかは正直わからない部分もある。


「おぃ」
「何?爆豪くん」
「お前、誰に投票すんのか分かってんだろうな?」
「え?投票?…うーん。悩むねぇ」
「悩んでんじゃねぇよ。俺以外誰がいんだよ馬鹿かテメェ」
「…はい?」
「下僕は主人に投票すんのが当たり前だろが」
「いつから私の主人になったの!?まだ私爆豪くんと結婚してないんだけど!?」
「………ブッ殺す」
「何故そうなる!?」


何はともあれ飯田くん考案の選挙方式で委員長を決める事が決定した。配られた紙に誰の名前を書こうかと考えてみたが、真っ先に浮かんだのは彼しかいなかった。

そして名前の書かれた紙が収集されて、その結果が黒板へと記載された。


「おお!!俺二票も入ってんじゃんか!!誰だあ!俺に入れてくれたのは!」
「(私だよ、ジェントルマン切島くん)」
「ぼ、僕が三表!?」
「なんで、デクに……!?誰がっ…ってお前かタレ目ぇぇ!」
「いや、私はジェントルマン切…いや、なんでもない」
「なんで俺に入れてねえんだよ!!殺すぞカスが!!」
「入れてても殺されそうな気がしたからやめておいた」
「随分素直だなぁ!下僕の分際で!」
「つーか、八百万と切島が同じ票数じゃんか!こーゆー時はどうすんだよ!飯田!」


上鳴くんが飯田くんに質問していた。あろうことか私が切島くんに投票してしまったがため、ヤオモモちゃんと同票という結果になってしまった。気まずい雰囲気になってしまうと焦っていたら、切島くんの男らしい台詞を聞いて心の底から感動した。


「なら俺はいいぜ!八百万やれよ!お前の方が副委員長としてクラスをまとめていけそうだしさ!」
「切島さん…いいのですか!?」
「おう!譲ってやんのも男ってもんだからな!」


まさしく男らしいの一言につきます。感動しましたよ切島くん!やっぱり私は君に投票してよかったよ!こんな目の前の爆発さん太郎のような爆発少年に投票しなくてよかったよ!…って何でこっち睨み付けてきてるの!?爆豪くん!?まさかまた私専用のテレパシー心が!?


「…テメェ、昼休み覚えとけよ」
「…覚えといていいことあるでしょうか」
「ブッッッ殺してやるからよぉ…喜べや下僕」
「そんな台詞聞いて喜ぶ人いるんでしょうか!?」


何はともあれ委員長は出久くんに決まり、副委員長はヤオモモちゃんとなった。出久くんもとても真面目だし他人に対しての分析力が凄いので、クラスの委員長にはぴったりだと思う。緊張しながら挨拶をしている出久くんを笑顔で見つめていたら、目の前で顔を爆破されそうになった。
目の前の彼は果たして私の事を女子だと思っているのだろうか。