高校2年生なんて、中だるみとかなんだの言われているもののそれは、一番エネルギーを持て余す時期だからなんじゃないかな。
日差しは確実に春から夏へと移行している。それとともに新しいクラスにもどんどん人の主張が混ざってクラスメイトありきの空間になりつつあった。
その主張の中にはもちろん、わたしのものも含まれている。し、最近わたしがとりわけ注目しているものは、

「いけいけ、どんどーん!!」

よくわからない口癖を叫ぶ、七松小平太くんのものだった。


「七松小平太です。体を動かしているのが大好きだ。よろしく」

飾り気のない風貌とそれを魅力的に見せる笑顔。あの自己紹介ですでにわたしの心に七松くんが居座りはじめた。
今まで何人かの男の子と付き合ったことがあったけれど、それのどれも参考にならなかった。
例えば、今までの男の子はあんなに筋骨隆々ではなかった。声が大きくなかった。陽気ではなかった。豪快ではなかった。挙げだすときりがなかった。
わたしは教室の端、壁に寄りかかりながら友達と談笑しているふりをして、いつも七松くんを見ていた。
七松くんはグラウンド。お友だちと体を動かしながら大きな声で、笑っていた。

「なまえは、気になる子いるの」

七松くんに気を取られているうちに、話題が恋愛に変わったらしい。女子高生の脳みそなんてこの手の話でできている。
もちろん。わたしだって。

「なまえはもう決まってるよね」
「あれ、わたし言ってたっけ」
「やー、言わなくてもわかるよ。いつもそっちの方ばっかり見てるもん」
「うそ、え、じゃあ誰だと思うの」
「中在家くんでしょ」
「へえー、そうなの」
「あー!!なるほど、ぽいね」
「確かに。なまえだったら中在家くんとツーカーで話せそう」
「そんなイメージがあるの」
「うん、どう、合ってるでしょ」
「残念ながら、違うよ」
「あれ、そうなの」
「おしいけれどね」
「惜しいって、じゃあ」
「まーね」

言われてみればそうかも、や、でもこの2人くっついたら元気だろうねーと、勝手なことばかり言う友達から視線を外した。
七松くんはやっぱりグラウンドで、今日はバレーをしていた。
バシッというアタックが決まり、よっしゃあーとの雄叫びが聞こえる。そんな笑顔の七松くんと、目があった気がした。

「ねえ、どういうところがいいの」

七松くんから視線を逸らさず、わたしは応えた。


「全部」

けれどとりわけ、にじみ出ているあの素直さ、かな。


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我が親愛なる暴君様へ01

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