((現パロ))
小平太は、ベッドの上でさっきからずっとそわそわしている。
小平太のベッドだから特に気にすることもないけれど、ギシギシと音をたてていて少しかわいそうだ。
わたしはそんなベッドにだらしなく足だけを引っ掛けて床に寝転がり、ギャグマンガを読んでひとり楽しんでいる。
もちろんこれは、小平太のものだ。
「なあ、なまえ」
「んー」
「楽しいか、今」
「うん、楽しいよ」
「それ、面白いか」
「面白いよ」
「うーん」
小平太にしてはめずらしい問答だった。いつもならば自分の欲求を、相手の状況を鑑みずに伝えてくるのに。今もあーだとか、うーだとか、繰り返している。
「なあ、なまえ」
「なに」
そう言って目があった途端、眉根を寄せて横を向いて黙りこんでしまった。
「ねえ、小平太、なに」
体を起こして顔を覗きこむと、余裕のないふらふらした視線とほんの一瞬、目があった。
「どうしたの」
「わ、私、…ちょっと外に出てくる!!」
「え」
「ちょっと、公園まで走ってくるんだ!!」
小平太のいなくなった部屋は、音もなくすごく心細い。
思えば小平太は私に対してはいつもそうだった。友だちに対しては相手を鑑みない暴君でも。
「なあ、なまえ」
いつもそういって、私の目をみて、私の反応を見て、どう伝えるのかに迷って、結局逃げてしまうのだ。
そんな小平太を見ると決まって、こそばがゆくて気持ちのいい感覚が全身を貫いてしまう。
今日で、小平太とつきあって3ヶ月がたつ。私たちは未だにキスすら、したことがない。
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我が親愛なる暴君様へ00
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