ルフィは、なまえがそばにいるとたまに落ち着かなくなって妙なことを口走っている。
この間、「おい、ずっと笑ってるんだぞ」と言っていたと思えば一昨日は「泣いた顔も見てみてぇな」なんて呟いていた。

「サニーの上は俺の特等席だから、俺しか座っちゃだめなんだ。でもおめぇはここに座っていなきゃいけないんだ」

先ほど言っていたのはこれだ。今までは笑顔ではいはい、とか、どっちよ、とかいう相づちで見事に受け止めてきたなまえだが、さすがに困ってしまったようで、「用があるから」と女部屋にひっこんでしまった。それからルフィはすごく不機嫌だ。

「ルフィ」
「なんだ」
「らしくないわよ」
「…俺らしいって、なんだ」
「いつものルフィは少なくとも、眉間に皺をよせて海を見たりはしないわ」
「これは…まぶしいんだ」
「あほ」
「まぶしいんだ」

なんの為の麦わら帽子よ、と言おうとしたら、それより前にルフィがうおおおおお、か、わああああ、か、叫びだした。
そうして芝生に降り立ちぐるぐるぐるぐる走り回った。ブランコは揺れ、昼寝をしていたゾロが何事かと飛び起きた。チョッパーは脅えている。

うおおおお、はまだ止まない。

いい加減うるさいのだけれど、どうにも止める気にならずそのまま見ていると、滑って転んで音はやんだ。
直情的すぎるこの男にとって、初めて芽生えたであろうこの感情は驚異であろう。ルフィは感情を持てあましながら、必死にもがいているのだ。

鼻ちょうちんを出して眠り始めた。いつかなまえが言っていた「いとおしいわよ、ルフィは」という言葉がぴったりよく似合う。

なまえも今頃部屋で、そう思っているのだろう。


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はつこい


11/0122

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