「ねぇルッチ、もしもね。」

「?」

「もしもここにいい感じの靴があったら、どうする?」















「…なにが?」

「だから、ここにいい感じの靴があったら、どうする?」

「無視だそんなもの。」

「えー!!なんでー?」

「誰のものともわからんだろうバカヤロウ。」

「ルッチにって、ルッチにはいてほしい、って感じの佇まいよ!?」



「……どうして分かる。」

「ハットリよ、ハットリが、靴の上に止まってるの!!」



「……はいてやらんこともない。」






そう言うと、なまえは嬉しそうに笑った












「じゃあね、もしも外がいい感じの陽気だったら、どうする?」

「いい感じの陽気?」

「そう!ポカポカで、気持ちよくって、いい感じ!」

「フン、それだけで外に連れ出す気か。」

「!!あとね、あとー、緑がキレイよルッチ、みーんなルッチを誘ってるの。空とか、土とか、葉っぱとか。」

「なら、外に出てやってもいいな。」

「そうでしょう、じゃあねルッチ、外に出て、いい感じのリュックを見つけたら、どうする?」



「…中身はなんだ」

「美味しそうなお弁当と、おしぼりとー、んーあとねー。」

「キルトのマットは入ってないのか?」

「!!入ってるよ、もちろん入ってるよ!ビニールのシートはやだなって思ってたの。」

「当たり前だ、あんな音のなるヤツ。」

「そんなリュック、あったらどうする?」

「背負うな、間違いなく。」

「やっぱりルッチね!じゃあ、それを背負って、どこに行く?」



「…山だな、山が良い。」

「えーやまぁ?」

「なんだ、不満か。」

「蚊にかまれるよ痒くなるよ。」

「ならなまえはどこが良いんだ。」

「んー、やっぱり丘は捨てがたいと思うの。」

「丘、か。なるほどな。」

「木が立ってるのよ、そこには。」

「なんの木だ。」

「知らない、どんぐりとか。」





「なるほど。」

「落葉樹じゃないとダメよ。秋に綺麗な落ち葉が見たいの。」



「…なるほどな。」

「でねっ!でねルッチ。」

「あぁ。」

「そこからちょっと離れたら、家があるの、一軒だけ。」



「……」



「別段大きくもないし、こじんまりしてるけど、いい感じの家。」

「他にはないのか?」

「何が?」

「家。」


















「ないよ、その一軒だけ。」



「……そうか。」

「そうよ、だーれもいないの。他には。だーれも。」


















「なるほど。」



そういって、ルッチはひっそり笑ったから








「それからね――――」



まだ続けていいんだって思っちゃって


*****


叶うはずのない 永遠に続く もしも



((やさしいね、ルッチは))


09/08XX

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