「ルルル〜」
俺は、なまえに赤子のように抱かれている。
「ルルル〜」
なまえは、詞のない歌をうたう。
「ルルル〜」
子守歌には似つかわしくない。
「ルルル〜」
それからは、なまえの匂いがする。
「ルルル…」
戦場で、なまえを口ずさむ。
行きたい、生きたい、体がめいっぱい叫んでいる。
「ルルル…」「ルルル〜」
そう、
俺の口からでる歌と、なまえの口から出る歌は、とっても素晴らしく重なるはずだ。
なまえが俺だけにうたう歌を、俺がうたっているんだから。
その歌が流れているところだけでも、静かであればいいと思った。
「エース!」
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カナリアの夢
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