「あああー落ち着く」

迎えのメリー号に乗り込み、W7を目指す。
体に染みついたキッチンの雰囲気に、確かに俺も癒される。

「おつかれ、サンジくん」
「なまえちゃんこそ、お疲れ様」

目の前のレディーは、だらしなく机につっぷしたまま締まりない笑みを見せた。



ウソップがいねえー
ウソップー!



甲板は、騒がしい。
キッチンは、ひっそりと佇む。
なんら変わらない、いつものメリーだった。

「ふふっ、」


深い色を呈した瞳に、苛ついた。


「なにか飲むかい、なまえちゃん」
「ねえ、サンジくん」
「、ん?」
「あたしね、わかったの」
「…なにが?」
「あたしね、この戦いで、エニエスロビーにいる間ずっと、ルフィをみてた」
「………」
「ずっと、ロビンじゃなくて、ルフィを」
「………」
「ねえ、サンジくん」
「………」
「あたし、あなたが好きよ」
「もちろんロビンも好きよ」
「でも、欲しいのは、ルフィみたい」
「……飲み物は、いらない?」
「…いまはいいや」
「そう、」





彼女のいう言葉は、心に沁みた。沁みて沁みて、少し痛い。

「好きだって、言ってくれて、嬉しかったよ」
「………」
「ありがとう、」

「なまえー!どこだー!」

「……お呼びだよ、」
「、ねっ」


ここだよー!
おー、おめえウソップしらねえか!
どっかに行っちまったんだよ!
えー!







日だまりの中に、溶けていく彼女を見送ることしか出来なかった。
柄にもなく、零れそうになる涙を、こらえることしかできなかった。

彼女は、好きよと笑ってくれた。
俺にはけれど、それじゃあ足りないよ。






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私はあなたがいるからだから

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