「戦争が始まるぞ」
「はじまりますね」
「将校以上の者は、マリージョアに緊急招集だ」
「そうですね」
「……」
「(ふんふん)」
「なんだその鼻歌」
「あたしが作ったんです、戦争のうた」
「……」
「(ふんふん)」
「…歌詞は、ないのか」
「あったんですけど、わすれてしまいました」
「……」
「(ふんふん)」
「おい、」
「はい」
「そろそろ放せ」
「いやです」
「……」
「(ふんふん)」



そういえば、こんなに長くこいつの顔を眺めたのは初めてだったかもしれない。
瞳の色に、気の抜けた鼻歌はとてもにあわない。
じっと前を見据えて、右手で、



「コートを、放してほしいですか」
「……」


「コートを、放してほしいですか」




「コートを、放してほしいですか」








「コートを、放してほしいですか」












「コートを、放してほしいですか」


















「コートを、放して…」

ほしい、ですか



「……なにを泣いている」
「………」
「ほら、ティッシュ」
「(ビーン)」
「……」







長いまつげに水滴がつく。
鼻の頭にしわがよる。
じわりと心にしみ込んだ。







「せんそう、というものは、」
「、」
「おそろしいんですよ、」


次々と、溢れる涙を止めようとせず、拭おうともせず、ただ頑固に右手が頑張っている。
大将の言葉が、頭を過ぎった。


「ひとが、死んでしまうんですよ、」
「……」
「せんとうと、いうものは」
「私は、死なない」
「…わかりませんよそんなこと」
「貴様私の実力を知らんとは言わせないぞ」
「、でも」
「私は、死なない」
「……」



右手が緩んだ、






「いきて、帰ってきてください」
「……」
「死んだりしたら、ぶっ飛ばしますよ」
「、望むところだ」
「うう…へへっ」

涙を拭って、やっと笑った。


「、そろそろ時間だ、これ以上の遅刻は許されまい」
「……そうですね、……中将いってらっしゃい」
「…一応言っておくが」
「はい、」
「貴様も行くんだぞ」
「、……え、あれ?」
「お前は、少将ではなかったか」
「……えー、」
「……」
「あああたしも、いくの?」
「そうだ」
「……ええー」
「…どうした、いきなりしゃがみ込んで」
「、や、あの、あはは……」
「早く立たんかなまえ、いい加減遅刻だ、急ぐぞ」
「!!」




いいい今、なまえって……!



******

BABY BABY こっちを向いた


09/1213

あと1本続きます^^^◎多分

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