なまえが泣いている。傷ついて、ボロボロで、だから俺はそばにいる。
傷をなめて、すこしでも、早くなおるように、誰かにねがいながら。
エースのとはちょっと違う、ふわふわのくせっ毛がほっぺたにはりついている。
涙。なまえはよく、水とか紅茶とかを、飲んでいるから、止めどなくわき出るんだ。
注意してやらないと、と一瞬おもってやめた。
俺の肩が、ほらびしょびしょだ。
でも痛みがやわらげば、なまえはまゆげを下げて笑うんだ!
それから、俺も笑うんだ!
しししっ
「泣いているときに、鼻水がでることってよくあるでしょう?」
「そうなのか?」
「そうよ!ルフィいつもあたしの泣き顔みてるくせに、しらなかったの?」
「しらねえ」
「あははっ」
「なまえ、鼻水垂らしてんのか?」
「うん、泣いてるときはずっとね」
「俺も垂らしてんのかな、」
「それでね、その泣いているときにでる鼻水はね、」
流しきれなかった涙、なんだって。
「そうなのか?」
「うん、らしいの」
流しきれなかった涙、
……なまえが、泣いているときは、俺がそばにいて、すこしでも早く、笑ってほしかったんだ。
涙も、流しきれなかった涙も、俺のチョッキで拭いてくれたってかまわなかったんだ!
俺は、笑いながら涙をひそめるなまえになにもできなかった。
なまえに、笑いながら涙をひそめさせてしまった。
だからなまえは、船をおりてしまった。
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あざやかに咲く花
09/1208
耳鼻科のポスターをみて、