なにがなまえをこんなに必死にさせるのか、おそらく雷蔵には分からないだろう。


なまえは口をあけて、赤く色づき始めた空を見上げている。
けれど実際見ているのは、後頭部に残る雷蔵、であって空なんかではないこと、私には分かる。



「さぶろー」
「どうした」
「…つかれた、凄く」



毎日まいにち、なまえは目からエネルギーを失っていく。合同授業なんかがあれば、夕方には私の膝枕で眠ってしまう。


「だろうな」







雷蔵には、きっと分からない。あいつは私の知らないとき、ずいぶん昔に子供から抜け出している、と私には思える。
同じように、子供とは言えないなまえは、しかし雷蔵には到底及ばないんだ。もちろん、私も。


「だから、意味があるのよ」


いつか、なまえが目を真っ赤にしてもらしていた。ちょうどこの空に、色も質もなにもかも、似ている目で、



「ね、あたしの部屋、いこっか」
「…いいぞ」
「慰めて、ね」







私は、気づいている。なまえと私は、同じ色をしている。
否定はさせない、誰にも。それだけ私は、なまえだけを、見ていた。


けれど、それにいつまでもなまえが、気づかなければいいと、思っている。





「慰めて、ね」



私は、満たされている。




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まぶた

10/0212

続き

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