うわーん、わんわん

「おーおー、ずぶ濡れじゃねえか」
「さむい」
「あぁ、寒ぃよい」



雨が降っている。風がふいている。
マルコの部屋は、乾いていて暖かい。


「甲板で何してたんだよい」
「雨みてたの」
「傘は?」
「飛ばされちゃった」
「…なんで船室に戻んなかったんだよい」
「ごめんなさーい」

ずるくて。



あたしのせいで、マルコもずぶ濡れ。あたしの髪を、体を拭いてくれるマルコはもうあたしより、ずぶ濡れ。



「…ぶえっくちっ」
「……鼻水」
「…ごべんね」
「…あーもー、風呂沸かすから、入ってけ」
「え、でも…」
「このまんまじゃあ風邪ひくよい」
「でも、マルコは?」
「後から入るよい」
「、でも、寒いでしょ?」
「あーあーいいから、これ体に捲いて待っとけよい」
「マ、マルコ!」
「……なんだよい」
「一緒にはい」
「はいらねえ」


ピシャリ、




「………、なんで」








ドドドドドドド








雨に濡れたから、服が臭い。




ドドドドドドド





「ほら、なまえ、沸いたぞ」
「ん、」
「代えの服はこないだほってったのでいいだろい」
「うん、」
「じゃ、しっかり暖まれよい」



ドドドド、まだお湯を張ってる。
ドドドドドド



「…脱がなきゃ」

ブラウスも、ズボンもブラジャーも、やっぱりぐしゃぐしゃで臭い。
でもきちんと纏める。あたしはこれくらいちゃんとできるのに。
ずるいやつだ。
くつしたを両方脱いだところで、ドドドにビシャビシャが混ざった。


お湯が、溢れてる。



「……そっか、」




バンッ


「!おま、なまえ!」
「マルコ!やっぱり一緒にはいろうよ!」
「バカなまえお前服着ろ!」
「お風呂はいろうよ、一緒にお風呂はいろうよ!」
「いい加減にしろい!早くひとりで入れ!」
「やだあああ!!」
「泣くな、泣くなら服着ろ!」
「やだあああ一緒に、おふろ、入ってよおおお!マルコお!」
「こ、らなまえこっち来んなバカ」
「マルコおお!!」


バタン


「なんで部屋でてくのー!」
「うるせぇ早く風呂入れ!!」
「うわああああああん」


また、失敗した。










マルコは、マルコはあたしが泣くと直ぐに来てくれるのに。
大声出しただけで、走って来てくれるのに。
だっこもしてくれるのに、撫でてもくれるのに、抱きしめてくれるのに、ちゅーもしてくれるのに



「なんでよおおお!!」



セックスは、しない。








パンツ一丁で、泣き喚くあたしの足元にお湯が届いた。



******

それでも続く


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