「ジョン・レノンは歌ったよ」


夜、といっても不夜島に闇はないが、いきなり俺の部屋にきてそう言ってのけた。
それからしばらく、俺たちは何も言わない。
なまえはベッドにだらしなく寝ころび、俺はソファで酒を飲む。


遮光カーテンの向こうには、燦々と輝く太陽がある。



「俺は、好きでやっている」



呆れるほど、まるで言い訳、言い逃れ。その音色はなまえに余すことなく届いたはずだ。
酔っぱらいの戯れ言、と、とられても仕方ない。零れた声は本当に頼りなかった。



「俺は、好きで、やっている」



比べてなまえの音色は、反芻には似つかわしくない。
感情の篭もらない、がどうやら悲しんでいると分かる、妙な声だった。


悪酔い、した。


なまえの服を、一枚一枚、丁寧に脱がした。
シャツ、パンツ、下着、はぎ取るごとになまえの香りが強くなった。
はぎ取るごとに、どうにも喉に込み上げるものがある。
そんな俺の様子を、なまえはじっとみていた。



「But I'm not the only one」



歌声が聞こえた、喉のものは、どうやら自制を超えたようだ。



「But I'm not the only one」












「ジョン・レノンは、歌ったけど、私音痴だから、ダメね」
「…そうか」
「、汗びっしょり」


ひたいの汗が、拭われる。


「ぎゅってして」
「………」
「、もっと」
「………」
「もっと」
「………」
「もっと、もっともっともっと」






「そう、いい子ね」



嗚咽は、出し切った。





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イマジン


09/1014

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