セックスの後、なまえはすぐに寝てしまうのだが、今日に限っては目が冴えているようだった。
大きい目はうっとりと宙を見据え、しきりに俺の首筋のにおいを嗅いではクスクス笑っていた。
その息が触れるたびに、なまえの髪を梳かして色々なものを紛らわせた。
「別の女、抱いてきたでしょ」
帰ってくるなり悪行を言い当てられ、肝が冷えた。
が対照的になまえの目は素直だった。「どう、よかった?」とさりげなく言ってのけた。
「どうかな、ガーッて抱いてすぐ帰って来たから」
「あはは、何それ。ガーッ?」
どこで、どれだけ、どんな体制、どんな道具、どんな言葉、どんな……
あんまりに無邪気に聞くもんだから、何も考えず質問に答えた。
何分間かの会話は「ねぇ、じゃあ私もガーッて抱いて」というなまえの言葉で終わりを告げることになったのだが。
「ガーッで抱かれた感想は?」
クスクスの合間に挟み込むと「うーん」と少し考えるそぶりを見せ
「気持ちよかったよ」
と適当な答えを返し、またにおいを嗅いでクスクス笑った。
「じゃあもっかいいっとくか」
髪を梳かすのにも飽き、体制をぐるりと変え、なまえをのぞき込む、とクスクス笑いの延長線で
「ねぇシャンクス」
「私の人生、シャンクスのせいでめちゃめちゃだよ」
なんて、うっとり宙を見据えて言うなまえに、たまらず俺は、笑った。
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そして口づけ
09/1004