「バーイセコー、バーイセコー、バーイセコー」


「…………」


「アイウォントゥーライユア」


「………………」


「バーイセコー、バーイセコー、バーイセコー」


「つまりあれだね、青チャリに乗りたいと。」


「そう!!」


「………ちなみに、漕ぐのは?」


「アイウォンユートゥー!!」


「あらららら」












チャリンチャリン



海上を爽快に走る自転車、面倒だけど心地いい。




「バーイセコー、バーイセコー」


「どう、満足?」


「んー、まだまだ!」


「あらら、わがままだな」


「ふふふっ」






そういえばここ数日、大きな仕事が重なり散歩するヒマもなかった。






………まぁぐうたら寝てはいたけれど。








「おっと。」


「わー!イルカ!!」


「ラッキーガールなまえ」


「ピンクだったね!さらにラッキー!」










バーイセコー、バーイセコー、バーイセコー









「クザンは海で自転車に乗れるけど、あたしは陸で乗るんだよ。」


「なまえチャリなんか持ってたの?」


「ううん、これからね、買うの。」


「買わなくても、大丈夫でしょうに。」


「なんでー?」


「チャリなんか乗ってどこ行くの。」


「ふふ、内緒ー!」


「あららららら」







空も海も真っ青、たまにはこんな穏やかなのも、悪くない。






「自転車こぐのって、疲れるの?」


「まぁまぁだな、メンドイほうか大きい」


「あははっ」











自転車を、買う なんて言ったときから薄々感じてはいた。




俺から離れていくことは。





けれども別段なにもせず、やり過ごしてはいたけれど。





















エニエスロビー、ちょっと行けばすぐ会える。

けれどもあたしの自転車じゃぁ海は走れないから、お別れね、クザン。


























なんて言葉



「結構、傷ついちゃったじゃないの。」












あの穏やかな一日は、せめてもの餞別だったのかもしれない。







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別れ話をしよう

((あなたのそばには、いれないよ))

09/0912

誰かのそばにだけ存在できたら、もっと穏やかに優しく過ごせるのに。

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テーマ「人外ファンタジー」
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