でろんでろんになる。
お酒を飲んでもあまり酔わないのに、ルッチとベッドに入るだけで、もうダメ。
でろんでろんでろーん。
意味もなく頬がゆるみ、意味もなくキスをする。
でろんでろんでろーん。
首筋に鼻を近づけにおいを探る、ルッチのにおい。
少し汗くさくて、けれど芳しい、ルッチのにおい。
たくましい腕に手をはわせると、やんわり捕まえられて、キスされる。
髪は優しく、柔らかくまろやか。
頭のてっぺんにキスをおとす、
あああルッチが首に舌を這わす、そしてキス
キスキスキスキスキスキスキス
不思議、キスって繰り返したら、スキになっちゃった
……あらーん、頭がゆるくなっちゃったのかしら。
でろんでろんでろーんうふふ
もしかして、うふふ、これが幸せ?
そうよきっとこれが、好き。
シーツのシワも枕のにおいも、いつものまんま
けれども、持ち主は不在。高波に、攫われてしまった。
キスキスキスキスキスキスキス
「なまえ、ルッチは………………」
キスキスキスキスキスキスキス
「ンマー、なまえ………………」
キスキスキスキスキスキスキス
「なまえ……………」
キスキスキスキスキスキスキス
…………………………
いつになったら、迎えに来るの?
ちゃあんと、生きてるくせに。
あんなにキスしたのに、いっぱいキスして
スキになったでしょう、好きになったでしょう、ちゃあんと。
だから、ダメ。戻ってきて、もう1回キスして。
1回だけなら、忘れてあげる。だって、スで終わるんだもん。馬鹿みたい。
でも、もしいっぱいいっぱいキスしたら、
「もうどこへも行かないで。」
「………遅くなったな。」
ほうら、ちゃあんと言えた。
******
とあるキスのはなし
((そしたら、もう離れられない))
09/0906