カミコの心は、少しギシギシとしていた。
自分の油断の所為だ、といっているのにカカシやシカクはそんなことないという。
里を出ようとしても無駄だ、とカカシに言われ、
そしてやはりそれをさせてくれない奈良家。
一時でも休まる場所が存在しなかった。
自分の事で他の人を巻き込みたくない。
もう、自分の目の前で誰かが傷つくのが嫌だった。
―――私の所為で、里が危険な目に合うなんて、二度と嫌だった。
シカクを、カカシを、そしてシカマルを危険に合わせてしまった事実が存在するから。
シカクが準備を終えたのかカミコを手招きする。
カミコはきゅっと腕に額当てを巻きなおしてシカクの元へ行き、戦闘態勢に入ろうとした時、シカクが腕を組み此方をみてくる。
カミコはわからずにこてり、と首を傾げた。
「あいつに…シカマルに土遁を教えてやってほしい。」
「…私が、ですか?」
「おりゃチャクラ練るのが苦手だからよ。秘伝と体術、そして頭だけで闘ってきたんだ。
遁術に関しちゃお前はカカシと同等に使えるのは見ていてわかった。
俺は、お前とシカマルがツーマンセルを組めりゃ、それは木ノ葉で最強になるとふんでる。」
シカクの言葉が突き刺さる。
「木ノ葉で」という言葉。
木ノ葉にいて当たり前だというその言葉に、チクリと心は痛む。
それでもほかならぬシカクの頼みだとカミコは首を縦に振った。
――――私はただの厄介者の筈なのに。