遠い近い 「とぅっ!」 今日もかわいい掛け声と共にやっとこさ、人間の姿になった俺の鳩尾へすばしっこい一撃が 飛んでくる。 「っ……!!ってぇな!お前さんまたか!!」 「毎度、ひっかかってくれるメ……ずたぶくろさんが悪いんですね、わかります!」 「んなこと笑顔で言ってんじゃねぇ!」 「っぎゃーーー!!!」 ひっ捕まえればワタワタと慌てだす。そんな俺たちを見て、周りは軽いため息をつきながら、自分の世界に入る 「おい、莉子。お前は少しは慣れろ」 「ひ、柊さん助けろくださいぃいい!!殺されるぅうう!ずたぶくろに殺されるとかいやですぅうう!!」 「……大袈裟な」 莉子の叔父らしい柊が地味に手助けをしてくれたが、なんでか俺がこいつを殺すというところまで話が一気に進んでしまった。 いや、確かにあのちっせぇ時の愛らしさは今の状態の俺にはねぇが 「……いいな、お前は、素直でな」 ポスっと俺の肩に手をおいてそうニヤリと言ってから柊は俺にしか聞えないであろう音量で、警告をしてきた 「……、俺みたいに、ならせないでくれ、そいつを」 その時の声は、酷く悲しみに埋もれていた (よくわからねぇが、心配しなくても、柊みてぇに背中が泣くようなことにゃあ、させねぇよ) ×
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