彷徨った




ふとカレンダーを見てとたんに思い出した。
もうあの子の誕生日を通り過ぎていたな。と

結局、俺はいつも過ぎてから気づいてしまうのだけど


「……。どうしようかなぁ」



色々と俺と逆のあの子は元気だろうか
随分前に書き上げたあの子の絵は結局渡すこともなくて俺が持ってる


「……ユウジさんにお願いしよう」


遅れてごめんね。の手紙も添えて。

(できることなら今すぐ会いにいくのに)


そう思いながら、ひとまず冷慈の家に行く為にいそいそと準備をする。
どっちにしろ今日は絶対に来いよって念を押されてたから丁度いい

炎天下の中溶けそうになりながらもちょっと遠い冷慈の家までフラフラと歩いていく。
途中でアイスでも買って食べながら行こうかな。
あ、寄り道したら怒られそうだ


「冷慈ー……。来たよ……」


メグさんに玄関を開けてもらって冷慈の部屋のドアに直で行けば、中が騒がしかった


「おー、宋壬、おっせぇぞー遅刻魔め」

「うん……ごめ、ん……?」


ドアを開けてすぐ、違和感に気づいた。
見覚えのある顔がなんかたくさんいる。


「宋壬ー!」

「お久しぶりです」

「えっと……月人さんと、樹乃ちゃん……」


それに冷慈のすぐ近くには尊くんと??くんがいる。
名前は未だに知らないなぁ。


「会いにきてやったぞ!引きこもりめ!」

「戸塚樹乃が言っていい台詞ではありません」

「ククク、我は引きこもりなどといった残念な者ではない……。全世界を支配すr」

「あ、そうだ。樹乃ちゃん」

「……相変わらず、マイペースだな。それでこそ宋壬だククク」


樹乃ちゃんがいつも通りに厨二病全開にしてるところに、思い出したようにスケッチブックを丸々一冊渡した。


「な、なんだこれ……」

「見てみて」

「……!!私だ……!月人!私が描かれてる!他のページに皆も載ってるぞ!!」


嬉しそうに月人さんのところに見せにいってる樹乃ちゃんを見るとまるで小動物を見てる気分になるのは俺だけかな


「もう何日か過ぎちゃったけど……誕生日、おめでとう。樹乃ちゃん」

(お祝いにケーキ食べよう。冷慈に買ってきてもらえば問題ない)






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