誕生日 「……ルア、何がほしい?」 「え……?」 トールさんにふと聞かれて目が点になった 今日はなんかの記念日だったろうか。いやどれもこれも当てはまらない。 「あ、えーと、あの、トールさん?」 「……、誕生日」 「ん!?」 「……昨日は、お前の誕生日だっただろう」 あぁ。そういえば昨日だった気もしなくもない。毎年毎年、誕生日なんて重要視していなくて忘れていた。 今年もまた、いつもどおりスッカリ頭から抜け落ちていたのだ。 「あ、そうだ。俺、誕生日だったじゃん!ケーキ食い損なった!!」 今年こそは、と意気込んでいたものの、結局今年も同じでケーキを食い損ねた。 なんと、これはショッキングな出来事である。 実にショッキングだ。 「今年こそはモンブランのデッカいの食おうって意気込んだのに去年の今日に……」 がっくしと項垂れてブツブツ文句を言っていると俺の頭上からモノホンの神様の一声が聞えた。 「……俺でよければ、作るが……」 「っ!!!是非!!!あざーっす!!!」 (よっしゃ。トールさんの作るモンブランとか本気で転がるレベルで禿げるほど嬉しいわ俺!) ×
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